第115回 看護師国家試験 午後 問110 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。 Aさん(37歳、初産婦)は妊娠40週5日で妊娠経過は順調である。午前6時から15分おきの子宮収縮が始まり、午前9時から5〜7分周期の陣痛がある。午前10時に入院し、入院時のバイタルサインは、体温36.9℃、脈拍80/分、血圧134/86mmHg。子宮口3cm開大、未破水であった。 Aさんは同日(妊娠40週5日)、20時30分に女児を正常分娩で出産した。出生時体重は2,850g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。日齢2の体重は2,680g、体温37.3℃、呼吸数38/分、心拍数138/分。おむつ交換時、外陰部に粘稠性のある血性分泌が認められた。 児の状態のアセスメントで正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 外陰部の血性分泌は母体エストロゲンの離脱による新生児月経である。
日齢2の女児にみられた外陰部の粘稠な血性分泌は新生児月経である。胎児期に胎盤を通じて受けていた母体のエストロゲンが出生によって急に途絶え、子宮内膜が剝がれて起こる消退出血で、生後3〜5日ごろに一部の女児にみられる生理的な現象である。数日で自然に消失し治療は不要であるため、新生児月経があるという判断が正しい。
他の値はいずれも新生児の基準の範囲内である。心拍数138/分は頻脈ではなく、呼吸数38/分は多呼吸(60/分以上)ではない。体重は2,850gから2,680gへ170g減っており、減少率は約6%で、生理的体重減少(出生体重の5〜10%程度)の範囲にある。
| 項目 | この児の値 | 基準の目安 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 体温(腋窩) | 37.3 ℃ | 36.5〜37.5 ℃ | 基準内 |
| 呼吸数 | 38 /分 | 60/分未満(おおむね40〜60/分) | 多呼吸ではない |
| 心拍数 | 138 /分 | 120〜160 /分 | 頻脈ではない |
| 体重 | 2,680 g(出生時2,850 g) | 生理的体重減少は出生体重の5〜10%程度 | 減少率 約6%=生理的範囲 |
体重減少率=(2,850−2,680)÷2,850×100=約6.0%。
- 1
頻脈である。不正解
新生児の心拍数の基準は120〜160/分であり、138/分は正常範囲である。新生児の頻脈は目安として160〜180/分を超える場合をいい、発熱・脱水・感染・貧血などを考える。
- 2
多呼吸である。不正解
新生児の呼吸数は40〜60/分が目安で、60/分以上が持続する場合を多呼吸という。38/分はむしろ落ち着いた状態であり多呼吸ではない。無呼吸(20秒以上、またはチアノーゼ・徐脈を伴うもの)にも注意する。
- 3
新生児月経がある。正解
外陰部の粘稠性のある血性分泌は新生児月経であり、母体エストロゲンの消退による生理的な出血である。生後数日で自然に消失するため、清潔を保ちながら経過をみる。母親には生理的現象であることを説明して不安を取り除く。
- 4
生理的体重減少を逸脱している。不正解
体重減少は170gで、出生体重2,850gに対して約6%である。生理的体重減少は出生体重の5〜10%程度で、日齢3〜5に最低となり日齢7〜10ごろに出生体重へ戻る。逸脱していない。
📚 関連知識
新生児には、病気と紛らわしい生理的な変化がいくつもある。母親への説明が看護のポイントになる。
- 生後24時間以内に出現する黄疸(早発黄疸)は血液型不適合など病的黄疸を疑い、生理的黄疸と区別する
- 生後24時間以内に胎便が出ないときは、鎖肛やHirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病などを考える
- Apgarスコアは1分後と5分後に評価し、8〜10点が正常、4〜7点が軽度仮死、0〜3点が重度仮死である
| 現象 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 生理的体重減少 | 出生体重の5〜10%程度が減少する | 日齢3〜5で最低、7〜10日で回復 |
| 生理的黄疸 | ビリルビン産生の増加と肝機能の未熟による | 日齢2〜3から出現、4〜5日でピーク |
| 新生児月経 | 母体エストロゲンの消退による性器出血(女児) | 生後3〜5日ごろ |
| 魔乳(新生児乳房腫大) | 母体ホルモンの影響で乳房が腫れ乳汁様分泌がみられる。搾らない | 生後1週前後 |
| 新生児中毒性紅斑 | 顔・体幹の紅斑と中央の丘疹 | 生後2〜3日、1週前後で消失 |
| 落屑 | 皮膚が乾燥して剝がれる | 生後数日〜 |
参考: 産婦人科診療ガイドライン 産科編(日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会)/新生児蘇生法テキスト(日本周産期・新生児医学会)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について