第115回 看護師国家試験 午前 問82 解説

一般成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

キューブラー・ロス,E.による死にゆく人の心理過程のなかで、肺癌と診断された人が、喫煙をやめることで病気をなかったことにできるのではないかと考える段階はどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 「○○すれば助かるのでは」と条件を持ち出す段階が『取引』。

キューブラー・ロスは、死にゆく人の心理過程を否認 → 怒り → 取引 → 抑うつ → 受容の5段階で記述した。

このうち取引は、避けられない現実を前に「良い行いをすれば」「○○をやめれば助かるのではないか」と、何かと引き換えに命の延長を願う段階である。

ただし5段階は、必ずしも順番どおりに進むわけではない。行きつ戻りつしたり、複数が同時に現れたりする。どの段階にいるかを決めつけず、その人の語りをそのまま受け止める姿勢が大切になる。

  • 1

    怒り不正解

    怒りは「なぜ自分がこんな目に」と周囲や運命に怒りが向く段階で、医療者に矛先が向くこともある。

  • 2

    受容不正解

    受容は死を避けられないものとして静かに受け入れ、心の平穏が訪れる段階である。

  • 3

    取引正解

    正しい。何かと引き換えに助かることを願う段階が取引。禁煙すれば病気がなかったことになる、という考えが当てはまる。

  • 4

    否認不正解

    否認は「何かの間違いだ」と事実そのものを認めない段階で、告知の直後にみられやすい。

  • 5

    抑うつ不正解

    抑うつは失うものの大きさを実感し、深い悲しみや意欲の低下が現れる段階である。

📚 一緒に確認しよう

段階ごとに、みられる言動とかかわり方の要点が変わる。名前と言動を対にして覚えよう。

キューブラー・ロスの5段階と看護のポイント
段階みられる言動看護のポイント
①否認「何かの間違いだ」「検査をやり直してほしい」無理に事実を認めさせず、そばにいて安全を守る
②怒り「なぜ自分が」と家族や医療者に怒りを向ける怒りを個人攻撃と受け取らず、感情の表出として受け止める
③取引「○○するから助けてほしい」と条件を持ち出す願いを否定せず傾聴し、現実的な希望に橋渡しする
④抑うつ沈黙、涙、意欲の低下励ましすぎず、そばにいる。うつ病との鑑別も意識する
⑤受容静かに現実を受け入れ、身辺の整理を始める本人の望む過ごし方を支え、家族のケアも行う

参考: Kübler-Ross E『死ぬ瞬間』/系統看護学講座 成人看護学(終末期看護)

出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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