第115回 看護師国家試験 午前 問23 解説
📝 問題
包帯法で前腕部を固定した場合の観察項目で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 包帯より末梢(手指)の冷感=循環障害の有無を観察する。
包帯で四肢を固定したあと最も警戒するのは、締めつけによる循環障害と神経障害である。前腕を固定したのなら、見るのは包帯そのものではなく末梢=手指の状態になる。
手指の冷感・蒼白・チアノーゼ・腫脹・しびれ・痛みの増強・動かせないといった変化を確認する。見逃すとコンパートメント症候群やVolkmann(フォルクマン)拘縮に進む。
コンパートメント症候群とは
筋肉を包む区画の中の圧が上がり、血流が止まって筋や神経が傷む状態。強い痛みとしびれが早いサイン。
- 1
悪寒の有無不正解
悪寒は発熱の始まりを示す全身の徴候。包帯による局所の循環障害はとらえられない。
- 2
末梢冷感の有無正解
正しい。手指の冷感は締めつけによる血流障害の早期サイン。蒼白・しびれ・腫脹とあわせて確認する。
- 3
全身倦怠感の有無不正解
全身倦怠感は全身状態の指標ではあるが、前腕の固定による循環・神経障害を見つける項目ではない。
- 4
上腕動脈の触知の有無不正解
上腕動脈は肘窩=包帯より中枢側にあるため、前腕が締めつけられても触知は保たれる。見るなら橈骨動脈や手指のCRT。
📚 これとセットで理解しよう
阻血のサインは頭文字Pの5つで覚える。上から順に現れ、下にいくほど元に戻りにくい。 巻き方の原則と、見逃したときに残る後遺症もあわせて問われる。
- 包帯法の原則=末梢から中枢へ巻く/関節は機能肢位で固定/指先は出して観察できるようにする/結び目は創部・骨突出部・身体の下にならない位置にする。
- CRT(毛細血管再充満時間)は爪床を5秒間圧迫して離し、2秒以内に赤みが戻れば正常。
- Volkmann(フォルクマン)拘縮=上腕骨顆上骨折後やギプス・包帯の圧迫で前腕の筋が阻血・壊死し、手指が屈曲位で固まる後遺症。
| 徴候 | 内容 |
|---|---|
| Pain(疼痛) | 安静時でも強くなる痛み。最も早く現れる |
| Pallor(蒼白) | 皮膚の色が悪い、冷たい |
| Pulselessness(脈拍消失) | 末梢動脈が触れにくい |
| Paresthesia(感覚異常) | しびれる、触られてもわかりにくい |
| Paralysis(運動麻痺) | 指が動かせない。最も遅く現れ、元に戻りにくい |
参考: 日本整形外科学会「コンパートメント症候群」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について