第115回 看護師国家試験 午前 問119 解説
📝 問題
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。 午前9時、震度6強の大地震が発生した。発災直後、A病院では傷病者への対応として救急病棟に8床確保した。その応援のために各部署から看護師3名、医師2名、臨床工学技士1名、臨床検査技師1名、理学療法士1名が救急病棟に集まった。救急病棟のリーダー看護師は他部署から集まったスタッフとカンファレンスを行った。 発災1時間後、町内の避難所に救護所が開設され、A病院から応援の看護師が派遣された。救護所には簡易ベッド、処置台、医療資材、ホワイトボードが設置されている。数十分後には救護所に多数の傷病者が来ることを想定し準備を行った。 救護所の看護師が行う準備で優先されるのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 多数傷病者の受け入れではトリアージ区分ごとの待機区域の確保が最優先。
「数十分後には多数の傷病者が来る」という状況では、まず受け入れる場をつくることが最優先になる。
トリアージを行っても、区分ごとの待機・処置エリアが決まっていなければ傷病者を適切に配置できない。重症者が軽症者に埋もれて処置が遅れてしまう。
赤(最優先治療群)・黄(待機的治療群)・緑(保留群)・黒(死亡群)ごとにゾーニングし、搬入口から各エリア、搬送車両までの動線を確保する。これが、限られた人員で最大多数を救うための前提条件になる。
優先度を問う問題では、〈いま起きること〉と〈後から整えられること〉を仕分けるとよい。
- 1
医療資材の使用期限確認不正解
医療資材の使用期限確認は平時の管理業務であり、数十分後に多数傷病者が来る場面で最優先とすべきものではない。
- 2
24時間体制の看護師の確保不正解
24時間体制の看護師確保は中長期的な体制整備であり、数十分後の受け入れ準備には間に合わない。
- 3
医療処置前に契約する同意書の作成不正解
災害時の救護は緊急性が高く、個別の同意書を作成している余裕はない。生命を守る処置が優先される。
- 4
医療機関別の救急受け入れ先リストの確認不正解
搬送先の把握は必要だが、災害急性期は各医療機関の受け入れ可否が刻々と変わる。まず救護所内で受け入れる場を整えるのが先である。
- 5
トリアージ別に傷病者が待機する区域の確保正解
正しい。トリアージ区分ごとに待機・処置区域をゾーニングし動線を確保することが、多数傷病者を受け入れる前提になる。
📚 国試でよく狙われるところ
トリアージ区分は4つ。色と優先順位、代表的な状態をセットで覚える。
- 一次トリアージのSTART(スタート)法=歩行の可否 → 呼吸 → 循環(橈骨動脈の触知・毛細血管再充満時間)→ 意識の順に判定する。
- トリアージは1回で終わりではなく、時間の経過とともに繰り返す(状態は変化する)。
- 救護所ではホワイトボード等で傷病者数・区分・搬送状況を見えるようにし、交代要員とも共有する。
| 区分 | 色 | カテゴリー | 状態の例 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ | 赤 | 最優先治療群 | 気道閉塞、大量出血、ショック、緊張性気胸など、直ちに処置すれば救命可能 |
| Ⅱ | 黄 | 待機的治療群 | 四肢骨折、脊髄損傷など、多少治療が遅れても生命に危険が及びにくい |
| Ⅲ | 緑 | 保留群 | 歩行可能な軽症。専門医の治療を必要としない |
| 0 | 黒 | 死亡群・救命困難群 | 死亡、または現有の資源では救命が困難 |
トリアージタグは原則として右手首に装着する(装着できない場合は左手首→右足首→左足首→頸部の順)。
参考: 災害医療 CSCATTT/トリアージ(START法)/災害看護 救護所運営の基本
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について