第114回 看護師国家試験 午後 問88 解説
📝 問題
高齢者における感覚器の変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・4
💡 解説
✅ 高齢者では痛覚の感受性が低下し、暗順応も低下する。
加齢による感覚の変化は、基本的にすべて「鈍くなる」方向に進む。この原則を持っていれば、多くの選択肢は判断できる。
引っかかりやすいのが「閾値」という言葉である。閾値とは、感じ取れる最小の刺激の強さのこと。閾値が上がれば鈍くなり、下がれば敏感になる。高齢者では味覚の閾値は上昇する(=味を感じにくくなる)ので、「低下」としている選択肢は逆になる。
- 1
高音域の聴力が保持される。不正解
逆である。老人性難聴は内耳の有毛細胞が減って起こる感音難聴で、高音域から先に低下する。サ行やカ行など高い音を含む子音が聞き取りにくく、「聞こえるのに何を言っているか分からない」という訴えになりやすい。
- 2
痛覚の感受性が低下する。正解
痛覚は鈍くなる。そのため、胸痛のない心筋梗塞(無痛性心筋梗塞)、腹膜炎でも腹痛が乏しい、低温やけどや褥瘡の発見が遅れるといった問題が起こる。
- 3
味覚の閾値が低下する。不正解
味覚は閾値が上がる(感じにくくなる)ので誤りである。味蕾の減少、唾液の減少、薬や亜鉛不足が関わり、とくに塩味を感じにくくなるため、味付けが濃くなって食塩摂取量が増えやすい。
- 4
暗順応が低下する。正解
暗順応は低下する。水晶体が濁って網膜に届く光が減り、瞳孔も小さくなるため、明るい所から暗い所へ移ったときに見えるまで時間がかかる。夜間のトイレでの転倒につながる。
- 5
嗅覚は保持される。不正解
嗅覚も低下する。ガス漏れや焦げ臭さ、食品の腐敗に気づきにくくなって生活の安全に関わるほか、風味を感じにくいことから食欲不振の一因にもなる。
📚 これとセットで理解しよう
感覚の変化は「鈍くなる」で終わらせず、生活のどこで危険につながるかまでつなげて覚えると忘れにくい。
| 感覚 | 変化 | 生活への影響 |
|---|---|---|
| 視覚 | 老視、水晶体の混濁・黄変、暗順応の低下、視野狭窄 | 近くが見えにくい、まぶしさに弱い、夜間の転倒、青と緑の区別がつきにくい |
| 聴覚 | 高音域から低下する感音難聴、語音弁別能の低下 | 会話が聞き取れない、孤立、抑うつ |
| 味覚 | 閾値の上昇(とくに塩味) | 濃い味を好み食塩摂取量が増える |
| 嗅覚 | 低下 | ガス漏れや腐敗に気づかない、食欲低下 |
| 皮膚感覚 | 触覚・温度覚・痛覚の低下 | 低温熱傷、褥瘡、症状のマスク |
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について