第114回 看護師国家試験 午後 問60 解説

一般小児看護学✔ 監修済み

📝 問題

標準的な成長・発達をしている子どもが「ばい菌が体内に入ることで病気になる」と考えるようになるのは、ピアジェ,J.〈Piaget, J.〉の認知的発達段階のどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ ピアジェの認知的発達段階では、前操作期にあたる。

ピアジェは認知の発達を感覚運動期(0〜2歳)→前操作期(2〜7歳)→具体的操作期(7〜11歳)→形式的操作期(11歳〜)の4段階に分けた。前操作期は、言葉やイメージを使って目の前にないものを思い浮かべられるようになる一方、論理的な操作はまだできず、直観的思考(見た目に左右される)、自己中心性(相手の視点に立てない)、アニミズム(物にも心があると考える)が特徴である。

この時期の子どもは、病気の原因を「悪いことをしたから」といった直観的な結びつきでとらえる段階から、「ばい菌が体に入るから病気になる」という単純で目に見えるかたちの因果関係でとらえられるようになる。目に見えない仕組み(免疫や感染の機序)を体系的に説明できるのはさらに先の段階であり、本問はこの前操作期にあたる。

なお、Bibace&Walshによる子どもの病因概念の発達研究では、「ばい菌が体内に入って病気になる」という説明(内在化)を具体的操作期に位置づける整理もある。理論書と国家試験の区分がずれることがある点は頭の隅に置いておきたい。

  • 1

    感覚運動期不正解

    感覚運動期(0〜2歳)は、見る・触る・口に入れるといった感覚と運動を通して外界を理解する段階である。言葉による因果関係の理解はまだ成立しておらず、この時期には該当しない。

  • 2

    前操作期正解

    前操作期(2〜7歳)は象徴機能が発達し、言葉やイメージで物事をとらえられるようになる時期。「ばい菌が入る」という直観的で単純な因果として病気を理解するのがこの段階である。

  • 3

    具体的操作期不正解

    具体的操作期(7〜11歳)は、目の前の具体的な事柄について保存の概念や可逆性、分類・系列化といった論理的操作ができるようになる段階である。設問の説明より一段進んだ理解ができる時期として扱われることが多い。

  • 4

    形式的操作期不正解

    形式的操作期(11歳〜)は、仮説を立てて抽象的・論理的に推論できる段階である。免疫の仕組みや感染経路を体系的に説明できるようになるのはこの段階で、設問の内容よりも高度である。

📚 関連知識

発達理論は提唱者ごとに区分が異なるため、年齢の目安をそろえて整理しておく。

  • エリクソンの発達課題=乳児期「基本的信頼」/幼児前期「自律性」/幼児後期「自主性(積極性)」/学童期「勤勉性」/青年期「同一性(アイデンティティ)」
  • フロイトの性的発達段階=口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期
ピアジェの認知的発達段階
段階年齢の目安特徴
感覚運動期0〜2歳感覚と運動で外界を理解。対象の永続性を獲得する
前操作期2〜7歳象徴機能、直観的思考・自己中心性・アニミズム。保存の概念は未獲得
具体的操作期7〜11歳保存の概念、可逆性、分類・系列化。具体的な事柄に限り論理的操作ができる
形式的操作期11歳〜抽象的・仮説演繹的な思考が可能になる

参考: Piaget J. 認知発達理論

出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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