第114回 看護師国家試験 午後 問28 解説
📝 問題
ヘリコバクター・ピロリ感染症〈Helicobacter pylori infection〉で正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ ヘリコバクター・ピロリの診断には尿素呼気試験が有用。
ヘリコバクター・ピロリは、胃の粘膜表面をおおう粘液層にすむ細菌で、ウレアーゼという酵素をもつ。この酵素が胃の中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、できたアンモニアが菌の周りの胃酸を中和する。だから強い酸の胃の中でも生き延びられる。
この性質を利用したのが尿素呼気試験である。目印をつけた尿素を飲むと、菌がいれば分解されて目印つきの二酸化炭素が呼気に増える。体への負担が少なく精度も高いので、診断にも除菌の判定にも使われる。
- 1
尿素呼気検査は診断に有用である。正解
正しい。菌がもつウレアーゼの働きを利用した検査で、診断にも除菌の判定にも第一選択となる。
- 2
除菌後の判定は除菌終了後の翌日に行う。不正解
翌日では菌が一時的に減っているだけで、誤って陰性と出てしまう。判定は除菌終了から4週間以上あけて行う。
- 3
ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉は胃の粘膜下層に生息する。不正解
菌がすむのは胃粘膜の表面をおおう粘液層と上皮の表面で、粘膜下層まで入り込むわけではない。
- 4
ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉は尿素を作り出して胃酸から身を守る。不正解
菌がつくるのは尿素ではなくウレアーゼという酵素である。この酵素が尿素を分解し、できたアンモニアで胃酸を中和して身を守る。
📚 国試でよく狙われるところ
除菌の方法と検査前の注意も問われやすい。
- 一次除菌は胃酸を強く抑える薬+アモキシシリン+クラリスロマイシンを7日間。うまくいかなければメトロニダゾールに変えて二次除菌
- 感染は胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃癌の原因になる
- 尿素呼気試験の前は絶食にする。胃酸を抑える薬は2週間前から中止しないと、誤って陰性と出てしまう
| 分類 | 検査 | 特徴 |
|---|---|---|
| 内視鏡不要 | 尿素呼気試験 | 感度・特異度が高く、除菌判定に適する |
| 内視鏡不要 | 血清・尿中抗体測定 | 簡便だが除菌後も長く陽性が残る |
| 内視鏡不要 | 便中抗原測定 | 小児でも実施しやすい |
| 内視鏡必要 | 迅速ウレアーゼ試験 | 生検組織のウレアーゼ活性をみる |
| 内視鏡必要 | 鏡検法・培養法 | 菌体の確認、薬剤感受性の評価 |
参考: H. pylori感染の診断と治療のガイドライン(日本ヘリコバクター学会)
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について