第114回 看護師国家試験 午前 問28 解説
📝 問題
胸管について正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 胸管は、腰のあたりにある乳び槽から始まる。
胸管は体でいちばん太いリンパの本幹(長さ約40cm)で、腰のあたりにある乳び槽から始まる。
集めるのは下半身のすべてと、左の上半身(左上肢・左の頭と首・左胸部)のリンパ。横隔膜を通って上へのぼり、最後は左静脈角(左の内頸静脈と左の鎖骨下静脈が合わさるところ)で静脈へ注ぐ。
右の上半身のリンパだけは、別の右リンパ本幹が集めて右静脈角へ注ぐ。
「リンパは最後に必ず静脈へ戻る」という大原則をおさえておけばよい。
- 1
集めたリンパを左鎖骨下動脈に注ぐ。不正解
リンパが戻るのは静脈。胸管が注ぐのは左静脈角であって、動脈ではない。
- 2
右側の頸リンパ本幹と合流する。不正解
右の頸リンパ本幹が合流するのは右リンパ本幹。胸管が担当するのは左半身と下半身。
- 3
毛細リンパ管網である。不正解
毛細リンパ管網は組織の中で組織液を集めるいちばん細い部分。胸管はそれらが集まった最も太い本幹で、太さも役割も違う。
- 4
乳び槽から始まる。正解
正しい。腰のあたりの乳び槽から始まる。
📚 混同しやすいので注意
胸管と右リンパ本幹は「どこのリンパを集めてどこへ注ぐか」で対にして覚える。
- リンパ管には弁があり、筋の動きと呼吸によって一方向へ流れる。
- 乳びは、小腸で吸収された脂肪を含む乳白色のリンパ。乳び槽の名前はこれに由来する。胸管が傷ついて胸腔へ漏れると乳び胸になる。
- 左の鎖骨の上のリンパ節への転移(ウィルヒョウ転移)は、胃癌など腹部の癌が胸管を通って届くために起こる。
| 胸管 | 右リンパ本幹 | |
|---|---|---|
| 集める領域 | 下半身全体+左上半身 | 右上肢・右の頭と首・右胸部 |
| 起始 | 乳び槽(腰椎の前面) | 右側の各リンパ本幹の合流 |
| 注ぐ場所 | 左静脈角 | 右静脈角 |
| 長さ | 約40cm(人体最大) | 約1〜2cm |
参考: 日本リンパ浮腫学会「リンパ浮腫診療ガイドライン」
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について