第114回 看護師国家試験 午前 問113 解説

状況設定母性看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 Aさん(36歳、経産婦)は、夫(35歳)、男児(3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar〈アプガー〉スコア9点、5分後のApgar〈アプガー〉スコア10点であった。産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。 産褥3日、乳房は緊満、乳管開通は左右とも5、6本、射乳がある。1日8回授乳をしている。児の体重は3,080gで前日よりも20g減少している。「母乳で育てたいと思っていたけど、乳房が張って授乳がうまくできないです」と話す。 このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 授乳の前に乳輪部のマッサージをして柔らかくし、児が深く含めるようにする。

産褥3日は乳房の張り(緊満)がピークになる時期。乳汁の産生が一気に増え、血流とリンパの増加も加わって乳房全体が硬くなる。

このとき乳輪まで硬くなると、赤ちゃんは乳輪を含んで深くくわえられず、乳頭だけをくわえる浅いくわえ方になる。すると乳汁が出ない・乳頭が傷つく・赤ちゃんが飲めない、という悪循環に陥る。

Aさんは乳管開通が左右とも5、6本あり射乳もみられ、乳汁が出ること自体は順調。児の体重も生理的な減少の範囲内で、授乳回数も1日8回と十分。問題は母乳の量ではなく、くわえ方にある。

  • 1

    「水分を多めに摂りましょう」不正解

    脱水しない程度の水分は必要だが、「多めに」とすすめると張りを強めかねず、くわえられないという問題の解決にならない。のどが渇いたら飲む程度でよい。

  • 2

    「時間を決めて授乳をしましょう」不正解

    母乳育児は赤ちゃんが欲しがるときに与える自律授乳が原則。時間を決めて間隔をあけると乳汁がたまり、張りと乳腺炎を招く。Aさんはすでに1日8回で回数は足りている。

  • 3

    「乳房の張りは2週間程度続きます」不正解

    生理的な張りは産褥3〜4日ごろがピークで、うまく授乳できていれば数日で軽くなる。2週間続くと説明するのは誤りで、母乳育児をあきらめる原因になる。

  • 4

    「授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう」正解

    正しい。硬くなった乳輪部を授乳前に柔らかくすると、赤ちゃんが乳輪まで深く含めるようになる。くわえ方が改善すれば乳汁がよく出て、張りそのものも軽くなる。

📚 国試でよく狙われるところ

乳房の張りは「乳汁が出ないから」ではなく「うまく出しきれていないから」起こる。回数とくわえ方を整えるのが基本。

  • よいくわえ方のサイン=口を大きく開けて乳輪まで含む・下唇が外向きに開く・あごが乳房に触れる・ゆっくり深く吸い、飲み込む音がする。
  • 乳頭の痛みや傷は浅いくわえ方のサイン。乳頭マッサージをして乳輪から柔らかくし、抱き方(横抱き・交差抱き・脇抱き・添い乳)を変えて調整する。
  • 乳腺炎は乳汁がたまったところへ感染が加わり、発熱・乳房の熱感と発赤・痛みが出る。授乳は原則やめない(出しきることが治療になる)。
  • 生理的体重減少は出生体重の5〜10%で、生後3〜5日に最低となり、7〜10日で出生体重に戻る。

出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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