第113回 看護師国家試験 午後 問99 解説

状況設定老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 Aさん(71歳、女性)は夫と10年前に死別し、1人で暮らしている。息子は結婚して他県に住んでいる。Aさんは、3か月前に脳梗塞を発症して要介護1となり、介護老人保健施設に入所した。 Aさんは老人性白内障があるがADLに支障はなく、認知機能やコミュニケーションに問題はない。食事は自力で摂取できる。紅茶が好きで、毎日カップ2、3杯は飲んでいる。我慢できない強い尿意があり尿が漏れてしまうため、下着に尿取りパッドを付けている。トイレには自力で移動でき、下着やズボンの上げ下ろしは自立している。排便は2日に1回である。 5日後、Aさんは解熱し、少しずつ食欲が出てきた。下腹部痛は消失し、尿失禁の回数も少なくなった。 症状の再燃を防止するためのAさんへの対応で適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 尿路感染の再燃を防ぐには、尿取りパッドの交換回数を増やし、会陰部を清潔・乾燥に保つのが適切である。

膀胱炎が治まったあとの再燃予防では、会陰部を清潔かつ乾燥に保ち、細菌が尿道をさかのぼる上行感染を防ぐ。尿取りパッドの交換回数を増やして、濡れた状態を長く続けないことがそのまま予防になる。

ほかの3つは、必要のない手出しでかえって害になる。2時間ごとの排尿誘導は、排尿が自立しているAさんには要らない。用手圧迫排尿は膀胱の内圧を上げて感染を広げかねず、排尿のたびの陰部洗浄は洗いすぎで皮膚を傷める。

用手圧迫排尿とは

下腹部を手で押して膀胱の尿を出させる方法。自力で膀胱を縮められない人に行う。

常在菌叢とは

皮膚や粘膜にふだんから住んでいる菌の集まり。洗いすぎて減らすと、かえって病原菌が増えやすくなる。

  • 1

    2時間ごとに排尿誘導する。不正解

    排尿が自立しているAさんに2時間ごとの排尿誘導は必須でなく、再燃予防の主眼ではない。

  • 2

    用手圧迫排尿の方法を指導する。不正解

    用手圧迫排尿は残尿のある排尿障害への方法で、かえって感染や膀胱負担を招き不適切。

  • 3

    排尿の度に陰部を洗浄するように促す。不正解

    排尿のたびの陰部洗浄は過度の洗浄で常在菌叢や皮膚を傷め、逆効果になりうる。

  • 4

    尿取りパッドの交換回数を増やすように指導する。正解

    パッド交換の回数を増やし会陰部を清潔・乾燥に保つことが、上行感染による再燃予防につながる。

📚 ここも一緒におさえておこう

尿・便の付着が続くと皮膚のバリアが壊れ、失禁関連皮膚炎〈IAD〉を生じる。IADは褥瘡の発生・悪化因子でもあり、ケアの基本は洗浄・保湿・保護(撥水剤)の3つである。

  • 洗浄は弱酸性の洗浄剤を用い、こすらず押さえ拭きする
  • パッドの重ね使いは通気性を下げ、浸軟とかぶれ・感染を招く
  • 尿路感染の再燃予防では、清潔・乾燥の保持と十分な水分摂取を両立させる
  • 排尿自立が保たれている人には、不要な排尿誘導や導尿を行わず、自立の維持を支える

参考: 高齢者尿路感染症の予防・ケアに関する指針

出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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