第113回 看護師国家試験 午後 問83 解説
📝 問題
開心術後の心タンポナーデで正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・4
💡 解説
✅ 開心術後の心タンポナーデでは、心音減弱と中心静脈圧の上昇がみられる。
心タンポナーデは心嚢に血液などがたまり、心臓が十分に拡張できなくなる病態である。開心術後は心嚢内の出血で起こりうる。 拡張できないぶん心拍出量は低下し、心臓へ戻る血液がせき止められて中心静脈圧が上昇する(頸静脈怒張)。たまった液のため心音は減弱する。 この血圧低下・心音減弱・頸静脈怒張をBeck(ベック)三徴という。
他は向きが逆である。心拍出量は増えず、それを補って頻脈になることが多い。 奇脈も吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する所見で、上昇ではない。
中心静脈圧とは
心臓に戻ってくる血液の圧。上がると首の静脈が浮き出る(頸静脈怒張)。
- 1
徐脈不正解
拡張障害による心拍出量低下を代償して頻脈となることが多く、徐脈は典型的ではない。
- 2
心音減弱正解
心嚢内の貯留液により心音は減弱する(Beck〈ベック〉三徴の一つ)。
- 3
心拍出量の増加不正解
心臓が拡張できず心拍出量はむしろ低下する。
- 4
中心静脈圧の上昇正解
静脈還流が妨げられ中心静脈圧が上昇し、頸静脈怒張がみられる。
- 5
吸気時収縮期圧の10 mmHg上昇不正解
奇脈は吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する所見で、上昇ではない。
📚 混同しやすいので注意
心タンポナーデと緊張性気胸は、どちらの所見かを入れ替えて問われる。共通する所見と、片方にしかない所見を分けて覚えよう。
- 奇脈=吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する所見。心タンポナーデ・重症喘息でみられる
- 拡張が妨げられて心拍出量が低下するため、代償として頻脈になることが多い。徐脈は前終末期のサインで、通常はみられない
- 術後に血圧低下などを伴って心嚢ドレーンの排液が急に減少したら、凝血塊による閉塞とタンポナーデ進行を疑う
| 心タンポナーデ | 緊張性気胸 | |
|---|---|---|
| 共通所見 | 血圧低下、頻脈、頸静脈怒張 | 血圧低下、頻脈、頸静脈怒張 |
| 特徴的所見 | 心音の減弱、奇脈、心電図の低電位 | 患側の呼吸音消失・鼓音、気管の健側偏位、皮下気腫 |
| 治療 | 心嚢穿刺・心嚢ドレナージ(開心術後は再開胸止血) | 緊急脱気(胸腔穿刺)→胸腔ドレナージ |
参考: 心タンポナーデ(Beck三徴)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について