第113回 看護師国家試験 午後 問62 解説
📝 問題
人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 人を援助する過程で努力しても達成感が得られず、心身が消耗する状態は燃え尽き症候群〈バーンアウト〉である。
燃え尽き症候群〈バーンアウト〉は、看護師のように人を援助する職業に多い。努力を続けても満足感や達成感が得られないまま消耗し、情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成感の低下が現れる。うつ症状や意欲の低下、社会機能の低下を生じる点が問題文と一致する。
ほかの3つは、薬の副作用(悪性症候群)、子の独立による喪失感(空の巣症候群)、精神運動の障害(緊張病症候群)であり、対人援助職の消耗を指す言葉ではない。 「対人援助職の消耗=バーンアウト」と結びつけて覚える。
脱人格化とは
相手を人として見られなくなり、事務的で思いやりのない対応になること。燃え尽き症候群を示す3つの特徴の1つ。
- 1
悪性症候群不正解
悪性症候群は抗精神病薬などによる高熱・筋強剛・意識障害を呈する重篤な副作用である。
- 2
空の巣症候群不正解
空の巣症候群は子の独立後に親が感じる喪失感・抑うつであり、対人援助職の消耗ではない。
- 3
緊張病症候群不正解
緊張病症候群〈カタトニア〉は昏迷・無動・カタレプシーなど精神運動の障害である。
- 4
燃え尽き症候群正解
燃え尽き症候群は援助職に多く、達成感が得られず消耗しうつ症状や機能低下を生じる。
📚 混同しやすいので注意
- 予防には業務量や勤務体制の調整、相談できる職場風土、達成感の得られる目標設定が有効
- 相手のつらさに触れ続けて心が消耗することを共感疲労といい、対人援助職に起こりやすい
| 名称 | 病態・特徴 |
|---|---|
| 悪性症候群 | 抗精神病薬の投与中や急な中止で生じる。高熱・筋強剛・意識障害・発汗・CK上昇。原因薬の中止とダントロレン投与 |
| 空の巣症候群 | 子の独立・巣立ちを機に中年期の親(とくに母親)が抱く空虚感・抑うつ |
| 緊張病症候群〈カタトニア〉 | 昏迷・無動・カタレプシー・拒絶症・反響言語など精神運動の障害 |
| 燃え尽き症候群〈バーンアウト〉 | 対人援助職に多い消耗状態。情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成感の低下 |
参考: バーンアウト(Maslachの燃え尽き概念)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について