第113回 看護師国家試験 午後 問44 解説
📝 問題
慢性腎臓病においてリンの代謝障害によって生じる症状はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 慢性腎臓病のリン代謝障害によって生じる症状は骨痛である。
慢性腎臓病〈CKD〉では腎臓からのリン排泄が低下して高リン血症となり、これに伴う低カルシウム血症や活性型ビタミンDの低下から二次性副甲状腺機能亢進症を生じる。副甲状腺ホルモンが過剰になると骨からカルシウムが流れ出し(骨吸収亢進)、骨痛や骨折を招く。 この一連の病態をCKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)という。
ほかの選択肢もCKDでみられるが、いずれもリン以外の機序で起こる。
二次性副甲状腺機能亢進症とは
血液中のカルシウム不足が続き、それを補おうと副甲状腺ホルモンが出続ける状態。腎臓の働きが落ちたときに起こる。
エリスロポエチンとは
腎臓から出て、骨髄に赤血球を作らせるホルモン。腎臓の働きが落ちると減り、腎性貧血が起こる。
- 1
骨痛正解
高リン血症を基盤とするCKD-MBDにより骨吸収が亢進し、骨痛や骨折を生じる。
- 2
貧血不正解
腎性貧血はエリスロポエチン産生低下によるもので、リン代謝障害が主因ではない。
- 3
浮腫不正解
浮腫はナトリウムと水の貯留によるもので、リン代謝障害とは機序が異なる。
- 4
不整脈不正解
不整脈は主に高カリウム血症によるもので、リンによる症状ではない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
慢性腎臓病で起こる症状を、原因となる代謝異常と結びつける。
- CKDの重症度はGFR区分(G1〜G5)と蛋白尿(アルブミン尿)区分を組み合わせて評価する
- 血液透析の導入はGFR15mL/分/1.73m²未満を目安の一つとし、尿毒症症状・体液貯留・高カリウム血症などの症状・所見を併せて総合的に判断する
| 症状・所見 | 機序 | 主な対応 |
|---|---|---|
| 腎性貧血 | エリスロポエチン産生の低下 | ESA製剤(赤血球を増やす薬)、鉄の補充 |
| 高カリウム血症 | 尿中排泄の低下 | カリウム制限、陽イオン交換樹脂 |
| 高リン血症・骨病変(CKD-MBD) | リン排泄低下から二次性副甲状腺機能亢進症へ | リン制限、リン吸着薬、活性型ビタミンD製剤 |
| 代謝性アシドーシス | 酸の排泄低下 | 重炭酸ナトリウムの投与 |
| 浮腫・高血圧 | ナトリウムと水の貯留 | 減塩、利尿薬、降圧薬 |
参考: CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)の病態
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について