第113回 看護師国家試験 午後 問114 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が処方された。 選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉の内服を始めてから2か月が経過し、Aさんは外出中に鍵を閉め忘れたかもしれないという考えが強くなり、外出から予定より早く帰宅することがある。Aさんは「鍵を閉め忘れていないかの確認を減らしたい」と看護師に相談した。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 確認行為が強くなる前後の状況を振り返り、引き金を把握するよう促すことが適切である。
「確認を減らしたい」という本人の意欲を活かすには、鍵の閉め忘れが特に気になる場面の前後を一緒に振り返り、どんな状況や気持ちが確認行為の引き金になっているかをつかむことが有効である。 これは認知行動療法(曝露反応妨害法)につながる自己モニタリングである。
残る3つはいずれも不適切。外出を控えるのも、付き添いを頼むのも、気になる理由を考えるのも——どれも不安な場面から離れるか、頭の中で考え続けるほうに向かい、行動を振り返る作業から遠ざかる。
再保証とは
「大丈夫」と何度も確かめてもらうこと。その場の不安は下がるが、確かめないと安心できない状態を強めてしまう。
反すうとは
同じ考えを頭の中で何度も繰り返すこと。理由を考えるほど不安が長引きやすい。
- 1
外出を控えるよう助言する。不正解
外出を控えるのは不安場面の回避であり、かえって強迫を維持・強化する。
- 2
外出するときは誰かに付き添ってもらうよう提案する。不正解
付き添いを求めるのは再保証・巻き込みにあたり、確認行為の軽減につながらない。
- 3
鍵の閉め忘れが気になる理由を考えてみるよう伝える。不正解
「気になる理由を考える」は反すうを招きやすく、行動の振り返りほど有効ではない。
- 4
鍵の閉め忘れが特に気になるときの前後の状況を振り返るよう促す。正解
確認が強まる場面の前後を振り返り引き金を把握する自己モニタリングは、認知行動療法につながる適切な対応。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
曝露反応妨害法は、不安を引き起こす状況にあえて直面し(曝露)、確認などの強迫行為を行わない(反応妨害)方法。強迫行為をしなくても不安が時間とともに下がること(馴化)を体験するのが治療の要点である。
- 不安階層表を作り、不安の低い段階から段階的に取り組む。本人の同意と主体性が前提
- 取り組みの前提として、引き金となる状況・感情を自己モニタリングで把握する
- 看護師が「大丈夫だよ」と繰り返すことも再保証にあたり、症状を維持しうる
- 考えないようにする(思考抑制)ほど、その考えはかえって浮かびやすくなる
参考: 強迫性障害の認知行動療法(曝露反応妨害法・自己モニタリング)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について