第113回 看護師国家試験 午前 問98 解説

状況設定老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。小学校の教員を定年退職後、書道教室に月2回、体操教室に月1回通っている。20年前に高血圧症と診断され、月1回かかりつけの病院を受診し、内服治療をしている。6か月前から、Aさんは病院の受診日を間違えたり、書道教室の日時を忘れることがあり、かかりつけの医師に相談した。Aさんは認知症専門医を紹介され、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点で、軽度のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。 診断から2か月後、かかりつけの病院の看護師にAさんは「50年以上住んでいるこの土地で、できるだけ他人の迷惑にならず生活を続けたいと思って貯金もしてきました。私は軽い認知症だと言われたのですが、これからも自分でお金の管理ができるか心配です。どうしたらよいでしょうか。私が使えるサービスがあれば知りたいです」と話した。 Aさんが利用できるのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 金銭管理の支援に利用できるのは日常生活自立支援事業である。

日常生活自立支援事業は、認知症高齢者・知的障害者・精神障害者などで判断能力が不十分な人を対象に、社会福祉協議会が福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理(預金の出し入れ・支払いの手伝いなど)、通帳等の預かりを行う制度である。 軽度の認知症で自分の金銭管理に不安を感じているAさんが利用できる制度として最も適切である。

混同しやすいのが成年後見制度で、判断能力がさらに低下し、法的な代理権が必要になったときに使う。

  • 1

    生活保護制度不正解

    生活保護制度は経済的に困窮した人への最低生活保障であり、貯蓄もあるAさんの金銭管理の不安への支援には当たらない。

  • 2

    地域生活支援事業不正解

    地域生活支援事業は障害者総合支援法に基づく障害者向けの支援で、金銭管理援助を目的とする制度ではない。

  • 3

    後期高齢者医療制度不正解

    後期高齢者医療制度は75歳以上等の医療保険制度であり、金銭管理を支援する制度ではない。

  • 4

    日常生活自立支援事業正解

    日常生活自立支援事業は判断能力が不十分な人の金銭管理・福祉サービス利用を社会福祉協議会が援助する制度で、Aさんが利用できる。

📚 ここも一緒におさえておこう

成年後見制度は、判断能力の程度による分かれ方と、誰がどう始めるのかまで問われる。

  • 法定後見は判断能力の程度により後見・保佐・補助の3類型に分かれる。
  • 判断能力があるうちに本人が後見人を選んで契約しておくのが任意後見制度。
  • 身寄りがない場合などは市町村長が後見開始の審判を申し立てることができる。
日常生活自立支援事業と成年後見制度
項目日常生活自立支援事業成年後見制度
根拠社会福祉法(福祉サービス利用援助事業)民法
実施主体都道府県・指定都市社会福祉協議会(窓口は市区町村社協)家庭裁判所が後見人等を選任する
対象判断能力が不十分だが、契約内容は理解できる人判断能力が不十分から欠く常況にある人
支援内容福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理、通帳等の書類の預かり財産管理、身上監護、契約の代理・同意・取消し
費用利用料が必要(生活保護受給者は無料の場合が多い)申立費用と後見人等への報酬

参考: 日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)

出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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