第113回 看護師国家試験 午前 問97 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。小学校の教員を定年退職後、書道教室に月2回、体操教室に月1回通っている。20年前に高血圧症と診断され、月1回かかりつけの病院を受診し、内服治療をしている。6か月前から、Aさんは病院の受診日を間違えたり、書道教室の日時を忘れることがあり、かかりつけの医師に相談した。Aさんは認知症専門医を紹介され、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点で、軽度のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。 Aさんに出現している認知機能障害はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ Aさんに出現しているのは近時記憶障害である。
Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症の初期には、比較的最近の出来事を覚えられない近時記憶障害が中核症状として現れる。 Aさんは受診日を間違えたり書道教室の日時を忘れたりしており、これは新しい情報の保持が困難な近時記憶障害に該当する。MMSE 18点も軽度認知症の水準と矛盾しない。
アルツハイマー型認知症の症状は、記憶障害などの中核症状と、物盗られ妄想・徘徊・脱抑制などの行動・心理症状〈BPSD〉に大別される。
- 1
脱抑制不正解
脱抑制は前頭側頭型認知症などでみられる行動症状で、Aさんの記載症状には該当しない。
- 2
近時記憶障害正解
受診日や教室の日時を忘れるのは最近の出来事を保持できない近時記憶障害で、アルツハイマー型の初期中核症状である。
- 3
実行機能障害不正解
実行機能障害(段取り・計画の障害)は生じうるが、記載された症状は日時を忘れる記憶の障害である。
- 4
物盗られ妄想不正解
物盗られ妄想は行動・心理症状(BPSD)の一つで、現時点のAさんには認められていない。
📚 混同しやすいので注意
認知症は、検査の基準になる点数も、病型ごとの特徴も、入れ替えて覚えてしまいやすい。
- MMSEは30点満点で23点以下、改訂長谷川式スケール〈HDS-R〉は30点満点で20点以下が認知症の疑いとされる。
- 病型の特徴=アルツハイマー型は緩徐進行で近時記憶障害から、血管性は階段状の進行とまだら認知症、レビー小体型は幻視・パーキンソン症状・変動する認知機能、前頭側頭型は脱抑制と常同行動。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 中核症状 | 記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語・失行・失認、判断力の低下 |
| 行動・心理症状〈BPSD〉 | 物盗られ妄想、徘徊、抑うつ、不安、興奮・暴力、幻覚、睡眠障害、脱抑制 |
| 即時記憶 | 今聞いた数字をすぐ復唱する(数唱) |
| 近時記憶 | 数分から数日前の出来事。アルツハイマー型認知症で最も早く障害される |
| 遠隔記憶 | 数年以上前の出来事。比較的保たれる |
参考: 認知症疾患診療ガイドライン
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について