第113回 看護師国家試験 午前 問95 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。 Aさん(57歳、男性)は、妻(50歳)と2人で暮らしている。21歳から喫煙習慣があり、5年前に風邪で受診した際に肺気腫と診断された。最近は坂道や階段を昇ると息切れを自覚するようになってきた。 Aさんは発熱、咳嗽、粘稠痰、呼吸困難を認めたため受診し、肺炎を伴う慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断されて入院した。入院後、薬物療法によって病状は改善し退院が決定した。看護師がAさんに退院後の生活について尋ねると、今回の入院をきっかけにAさんは退職し、家事に専念すると答えた。 Aさんの呼吸機能に対する負荷が最も小さい動作はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 呼吸への負荷が最も小さいのは、買い物した荷物をカートで運ぶ動作である。
慢性閉塞性肺疾患(COPD〈シーオーピーディー〉)で息切れを強めるのは、上肢挙上の動作、息を止める動作、重い物を持ち上げて運ぶ動作である。
買い物の荷物をカートで運ぶ動作なら、押して進められるので持ち上げずにすみ、上肢を挙げることも息を止めることもない。呼吸への負担がいちばん小さい。
- 1
食べる直前に調理する。不正解
調理は立位や上肢作業を伴い一定の呼吸負荷がかかるため、最も負荷が小さい動作とはいえない。
- 2
部屋全体に掃除機をかける。不正解
部屋全体の掃除機がけは持続的な全身運動で、息切れを招きやすく負荷が大きい。
- 3
頭より高い位置に洗濯物を干す。不正解
頭より高い位置での作業は上肢挙上により呼吸補助筋が使えず、最も息切れを誘発しやすい動作である。
- 4
買い物した荷物をカートで運ぶ。正解
カートで押して運べば物を持ち上げずに済み、上肢・呼吸補助筋への負荷が最も小さい。
📚 これとセットで理解しよう
COPDでは日常生活のどの動作で息切れが起こるかに一定の型がある。動作の性質を4つに分けて、それぞれに具体的な工夫を助言する。
- 息切れを招きやすい動作=上肢の挙上(洗髪、洗濯物を干す、高い所の物を取る)、上肢の反復(歯磨き、体を洗う)、腹部の圧迫(前かがみ、靴下をはく、排便でいきむ)、息を止める(洗顔、会話、力む)。
- 工夫の例=腰かけて行う、シャワーチェアや長柄ブラシを使う、洗濯物は低い位置に干す、リーチャーで前屈を避ける、荷物はカートやリュックで運ぶ。
- 動作は息を吐きながらゆっくり行い、口すぼめ呼吸とパニックコントロールを身につける。
参考: COPD患者の日常生活動作(ADL)指導・呼吸リハビリテーション
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について