第112回 看護師国家試験 午後 問74 解説
📝 問題
細菌が体内に初めて侵入したときに最初に産生される免疫グロブリンはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 細菌が初めて侵入したときに最初に産生される免疫グロブリンはIgMである。
抗原(細菌)が初めて体内に侵入したときの一次免疫応答で、最初に産生される抗体はIgMである。IgMは五量体で分子量が大きく、感染の初期にすばやく作られて補体を活性化する。少し遅れて、より特異性の高いIgGが産生される。二次応答(再感染)では、記憶された分だけIgGが速やかに大量に作られる。
他の免疫グロブリンの特徴も整理しておきたい。IgAは分泌型として唾液・腸液・母乳など粘膜面の局所免疫を担う。IgDはB細胞の表面に存在し、機能には不明な点が多い。IgEはⅠ型アレルギー(即時型)や寄生虫感染に関与する。IgGは血中に最も多く、胎盤を通過して胎児に移行する唯一の抗体である。
国試では、初感染で最初に出るのがIgM、再感染で主体となり胎盤を通過するのがIgG、という順序が問われやすい。『Mが先、Gが後』と覚えると判別しやすい。
補体とは
血液の中にあるタンパクの一群。抗体がくっついた細菌に集まり、その膜に穴をあけて壊す。
五量体とは
抗体の基本の形が5つつながった構造。一度に多くの抗原を捕まえられるので、感染の初期に効率よく働く。
- 1
IgA不正解
IgAは分泌型として粘膜面の局所免疫を担う抗体で、初感染で最初に産生されるものではない。
- 2
IgD不正解
IgDはB細胞表面に存在するが、感染初期に最初に産生される抗体ではない。
- 3
IgE不正解
IgEはⅠ型アレルギーや寄生虫感染に関与する抗体で、初感染で最初に産生されるものではない。
- 4
IgG不正解
IgGは再感染(二次応答)で主体となり胎盤を通過するが、初感染で最初に出る抗体はIgMである。
- 5
IgM正解
IgMは初感染の一次免疫応答で最初に産生される五量体の抗体で、感染初期に補体を活性化する。
📚 混同しやすいので注意
5つのクラスを持ち場で分けられれば、この分野は全部解ける。表の1行ずつを、名前と持ち場のセットで覚えよう。母子免疫で主役になるのはIgGとIgAである。
- 母体から移行したIgGは生後3〜6か月に最も低くなり、この時期に乳児は感染しやすくなる。
- 初乳には分泌型IgAが多く含まれ、新生児の腸管粘膜を守る。
| クラス | 存在・構造 | 主な役割 |
|---|---|---|
| IgG | 血清中で最も多い(約70〜75%) | 二次応答の主体。唯一胎盤を通過して胎児に移行する |
| IgA | 唾液・腸液・初乳などの分泌液(分泌型は二量体) | 粘膜面の局所免疫 |
| IgM | 五量体で分子量が最大 | 一次応答で最初に産生される。補体活性化が強い |
| IgD | B細胞の表面 | B細胞の分化に関与(機能は不明な点が多い) |
| IgE | 血中にごく微量 | Ⅰ型アレルギー、寄生虫感染(肥満細胞・好塩基球に結合) |
参考: 標準的な免疫学(免疫グロブリンの種類と機能)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について