第112回 看護師国家試験 午後 問73 解説
📝 問題
上肢の運動を図に示す。 肩関節の屈曲の可動域測定で正しいのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 肩関節の屈曲は上肢を体幹の前方から頭上へ挙上する運動で、この動きを示す図が正しい。
肩関節の屈曲は、上肢を体幹の前方から前上方へ、頭上(180度)まで挙げていく運動である。関節可動域〈ROM〉の測定では基本肢位(下垂位)を0度とし、矢状面上で前へ挙げた角度をみる。 見分ける手がかりは2つ。上肢を前へ挙げているかと、下垂位から測っているかである。前方へ挙げていても、水平線や頭側の線を起点にすると角度が変わってしまう。
紛らわしいのは伸展と外転である。伸展は後方への挙上(50度)、外転は側方から頭上への挙上(180度)で、屈曲と外転はどちらも180度まで動く。角度が同じなので、動かす向きが前か横かで見分ける。
国試では、各関節の運動の名前(屈曲・伸展・外転・内転・回旋)と参考可動域、0度とする基本肢位が問われる。肩関節の屈曲=前方から頭上への挙上(180度)と、向きと角度をセットで覚えておくとよい。
ROM〈ロム〉とは
関節が動く範囲のこと。どこまで動かせるかを角度で表し、拘縮の程度や訓練の効果をみる目安になる。
矢状面とは
体を左右に分ける面。前後に動かす屈曲・伸展はこの面で起こり、横に動かす外転・内転は体を前後に分ける面で起こる。
- 1
不正解
上肢を体幹の後方へ引いた肢位を測っており、前方へ挙げる屈曲ではなく伸展にあたる。
- 2
不正解
同じく後方へ引いた肢位で、向きが逆。基本軸から測ってはいるが、これは伸展の測り方である。
- 3
不正解
前方への挙上だが、頭側の垂直線を起点にしている。屈曲は下垂位を0度として測るので起点が違う。
- 4
不正解
前方への挙上だが、水平線を起点にしている。水平位はすでに90度なので、ここから測ると角度が足りない。
- 5
正解
正しい。下垂位を0度として、前方から頭上まで挙げた角度を測っており、肩関節の屈曲(参考可動域180度)の測り方にあたる。
📚 国試でよく狙われるところ
関節可動域は「どの関節の・どの運動が・何度か」を入れ替えて問われる。基本肢位(下垂位)を0度として、前後に動かすのが屈曲・伸展、横に動かすのが外転・内転。動かす向きと運動の名前を対にして、表ごと覚えよう。
- 測定は、測る側が動かす他動運動を原則とし、代償運動が入らないよう体幹を固定する。
- 拘縮予防のROM訓練は痛みが出ない範囲でゆっくり行い、1日数回に分ける。
| 関節 | 運動 | 参考可動域 |
|---|---|---|
| 肩 | 屈曲(前方挙上)/伸展(後方挙上) | 180/50 |
| 肩 | 外転/内転 | 180/0 |
| 肘 | 屈曲/伸展 | 145/5 |
| 手 | 背屈/掌屈 | 70/90 |
| 股 | 屈曲/伸展 | 125/15 |
| 股 | 外転/内転 | 45/20 |
| 膝 | 屈曲/伸展 | 130/0 |
| 足 | 背屈/底屈 | 20/45 |
| 頸部 | 屈曲(前屈)/伸展(後屈) | 60/50 |
参考: 関節可動域表示ならびに測定法(日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について