第112回 看護師国家試験 午後 問28 解説
📝 問題
肥大型心筋症について正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 肥大型心筋症では心室壁が厚く硬くなるため、拡張障害が問題となる。
肥大型心筋症は心筋(特に心室中隔)が肥厚し心室壁が硬くなる疾患で、心室が拡張して血液を受け入れる能力が低下する(拡張障害)。 収縮機能はむしろ保たれることが多く、問題の中心は拡張障害である。
国試では心筋症の型ごとの特徴の区別が問われる。肥大型心筋症は遺伝的要因(家族性)が多く、心室壁の肥厚と拡張障害、左室内腔はむしろ狭くなるのが特徴で、若年者の突然死の原因ともなる。一方、拡張型心筋症は心室内腔が拡大し収縮障害を来す型で、両者を対比して覚えるとよい。ウイルス感染が主因なのは心筋炎、弁の肥厚は弁膜症に関連する所見であり、いずれも肥大型心筋症の本態ではない。
- 1
ウイルス感染が主な病因である。不正解
ウイルス感染が主病因となるのは心筋炎であり、肥大型心筋症は遺伝的要因が多い。
- 2
拡張障害が問題となる。正解
肥大型心筋症は心室壁の肥厚により心室が硬くなり、拡張障害が問題となる。
- 3
左室内腔は拡大する。不正解
左室内腔が拡大するのは拡張型心筋症であり、肥大型ではむしろ内腔は狭くなる。
- 4
弁膜に肥厚を認める。不正解
弁膜の肥厚は弁膜症に関連する所見で、肥大型心筋症の本態は心筋(心室壁)の肥厚である。
📚 混同しやすいので注意
心筋症は、型の名前と「心室壁・内腔・主な障害」の組合せを入れ替えて問われる。肥大型は壁が厚く内腔が狭い、拡張型は壁が薄く(菲薄化)内腔が広い、と反対の組で覚えよう。
- 閉塞性肥大型心筋症(HOCM)では左室流出路が狭くなり、労作時の失神・胸痛や収縮期雑音を認める。
- HOCMでは硝酸薬・強心薬・利尿薬が流出路狭窄を悪化させるため注意が必要。脱水と激しい運動を避ける指導が重要。
| 型 | 心室壁 | 内腔 | 主な障害 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 肥大型心筋症 | 肥厚(特に心室中隔) | 狭小化 | 拡張障害 | 家族性が多い。若年者の突然死の原因 |
| 拡張型心筋症 | 菲薄化 | 拡大 | 収縮障害 | うっ血性心不全を来し、心移植の適応となることもある |
| 拘束型心筋症 | ほぼ正常 | ほぼ正常 | 拡張障害 | 心室が広がりにくい(コンプライアンス低下)。まれな型 |
参考: 標準的な循環器学(心筋症の分類)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について