第112回 看護師国家試験 午前 問79 解説
📝 問題
僧帽弁狭窄症について正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 僧帽弁狭窄症では左心房から左心室への血流が妨げられ、左心房内圧が上昇する。
僧帽弁狭窄症は左心房と左心室の間にある僧帽弁の弁口が狭くなり(弁口面積が縮小し)、拡張期に左心房から左心室へ血液が流れにくくなる病態である。血液が左心房に滞るため左心房内圧が上昇し、さらに肺静脈・肺への圧上昇(肺うっ血・肺高血圧)や左心房拡大に伴う心房細動を来しやすい。
僧帽弁狭窄症の多くはリウマチ熱後の弁膜の変化(癒着・肥厚)による後天性のもので、先天的な弁尖の3尖化が原因ではない。心雑音は心尖部で拡張期にランブル雑音として聴取され、胸骨右縁第2肋間(大動脈弁領域)ではない。狭心痛を合併することは多くない。
僧帽弁狭窄=弁口の狭小化→左房圧上昇→肺うっ血・心房細動、という流れで理解する。
ランブル雑音とは
僧帽弁狭窄症で心尖部に聞こえる、低くゴロゴロした拡張期の雑音。狭くなった弁を血液が通り抜けるときの音。
リウマチ熱とは
溶連菌ののどの感染のあとに起こる全身の炎症で、関節リウマチとは別の病気。心臓の弁に傷を残し、何年もたってから僧帽弁狭窄症の原因になる。
- 1
弁口面積が拡大する。不正解
僧帽弁狭窄症では弁口面積は縮小(狭小化)するのであり、拡大しない。
- 2
左心房内圧が上昇する。正解
弁口の狭窄により左心房から左心室への流出が妨げられ、左心房内圧が上昇する。
- 3
狭心痛を合併することが多い。不正解
狭心痛を合併することが多いとはいえない。僧帽弁狭窄症の主症状は労作時呼吸困難などのうっ血症状である。
- 4
弁尖の先天的な3尖化が原因となる。不正解
多くはリウマチ熱後の後天性の変化が原因で、先天的な弁尖の3尖化が原因ではない。
- 5
胸骨右縁第2肋間で心雑音を聴取する。不正解
心雑音は心尖部で拡張期に聴取される。胸骨右縁第2肋間は大動脈弁領域である。
📚 国試でよく狙われるところ
弁膜症は「どの弁が」「狭窄か閉鎖不全か」を押さえ、雑音の時期(収縮期か拡張期か)と最強点をセットで覚える。 僧帽弁狭窄症では、聴診部位・合併症・主症状がセットで問われる。
- 心臓の聴診部位=大動脈弁:第2肋間胸骨右縁、肺動脈弁:第2肋間胸骨左縁、三尖弁:第4肋間胸骨左縁、僧帽弁:第5肋間左鎖骨中線上(心尖部)
- 僧帽弁狭窄症に心房細動を合併すると左房内に血栓ができ、脳塞栓症のリスクが高まるためワルファリンによる抗凝固療法を行う
- 主症状は労作時呼吸困難・起坐呼吸・血痰などの肺うっ血症状で、狭心痛は必発ではない
| 疾患 | 雑音の時期 | 最強点 | 主な病態 |
|---|---|---|---|
| 僧帽弁狭窄症 | 拡張期(ランブル雑音) | 心尖部 | 左房圧上昇 → 肺うっ血・肺高血圧・心房細動・血栓塞栓 |
| 僧帽弁閉鎖不全症 | 収縮期(全収縮期雑音) | 心尖部(左腋窩へ放散) | 左房・左室の容量負荷 |
| 大動脈弁狭窄症 | 収縮期(駆出性雑音) | 第2肋間胸骨右縁(頸部へ放散) | 左室肥大 → 狭心痛・失神・心不全 |
| 大動脈弁閉鎖不全症 | 拡張期(灌水様雑音) | 第3肋間胸骨左縁 | 左室の容量負荷、脈圧の増大 |
参考: 標準的な循環器病学(僧帽弁狭窄症の病態)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について