第112回 看護師国家試験 午前 問78 解説
📝 問題
インスリンを過剰に投与したときに現れる症候で正しいのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ インスリンを過剰に投与すると低血糖となり、手足のふるえが現れる。
インスリンを過剰に投与すると血糖が下がりすぎて低血糖を来す。低血糖では血糖を上げようとして交感神経・アドレナリンが働き、動悸・発汗・手指のふるえ(振戦)・強い空腹感・不安感などの自律神経症状が現れる。さらに進むと中枢神経症状(意識障害・けいれん)に至る。 手足のふるえは、この自律神経症状の1つである。
他の選択肢は低血糖の典型症状ではない。発熱・浮腫・顔面紅潮は低血糖に特徴的でなく、口渇感はむしろ高血糖(脱水)でみられる症状である。低血糖では冷汗はあるが顔面は蒼白になりやすい。
- 1
発熱不正解
発熱は低血糖の典型症状ではない。
- 2
浮腫不正解
浮腫は低血糖に特徴的な症状ではない。
- 3
口渇感不正解
口渇感はむしろ高血糖(脱水)でみられる症状で、低血糖の症候ではない。
- 4
顔面紅潮不正解
顔面紅潮は低血糖の症状ではなく、低血糖ではむしろ顔面蒼白になりやすい。
- 5
手足のふるえ正解
手足のふるえ(振戦)は低血糖に伴う交感神経症状で、インスリン過剰投与で現れる。
📚 混同しやすいので注意
低血糖ではまず交感神経症状(警告症状)が現れ、さらに血糖が下がると中枢神経症状に進む。高血糖の症状(口渇・多飲・多尿・体重減少)と対比して覚える。 低血糖に気づいたあとの対応もセットで覚える。
- 対処はブドウ糖10 g(またはブドウ糖を含むジュース150〜200 mL)の経口摂取。意識障害があればグルカゴンや50%ブドウ糖液の注射
- 腸で糖の分解・吸収を遅らせるα-グルコシダーゼ阻害薬の服用中は、砂糖では分解が遅れるため必ずブドウ糖を用いる
- 自律神経障害のある患者や高齢者では警告症状が出ない無自覚性低血糖に注意する
- 低血糖を繰り返さないよう、発熱や嘔吐で食事がとれない日(シックデイ)や運動時のインスリン・食事の調整を指導する
| 血糖値の目安 | 症状 | 分類 |
|---|---|---|
| 約70 mg/dL以下 | 冷汗、動悸、手指振戦、顔面蒼白、強い空腹感、不安感 | 交感神経症状(警告症状) |
| 約50 mg/dL以下 | 頭痛、眠気、集中力低下、生あくび、異常行動 | 中枢神経症状 |
| 約30 mg/dL以下 | 意識障害、けいれん、昏睡 | 中枢神経症状(重症) |
参考: 標準的な糖尿病学(低血糖の症状)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について