第111回 看護師国家試験 午後 問83 解説

📝 問題

Alzheimer〈アルツハイマー〉病で正しいのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ アルツハイマー病ではアミロイドβタンパクが脳に蓄積する

アルツハイマー病では、脳にアミロイドβタンパクが蓄積して老人斑を形成し、さらにタウタンパクの異常リン酸化による神経原線維変化が生じて神経細胞が障害される。これが病態の中心である。 「アミロイドβタンパクが蓄積する」が正しい。

高血圧を基礎疾患とし段階的に進行するのは血管性認知症の特徴であり、アルツハイマー病ではない。アルツハイマー病は初期から記銘力障害(新しいことを覚えられない)がみられるのが特徴で、「初期には記銘力障害はみられない」は誤り。MRIでは海馬・側頭葉内側の萎縮が特徴的で、前頭葉萎縮が目立つのは前頭側頭型認知症。脳血流シンチグラフィでは頭頂葉・側頭葉の血流「低下」がみられ、「頭頂葉の血流増加」は誤りである。

覚え方: 「アルツハイマー=アミロイドβ+タウ、海馬萎縮、記銘力障害から始まる」。血管性認知症(高血圧・階段状進行・まだら認知症)との対比が国試頻出。画像所見(海馬萎縮、頭頂側頭葉の血流低下)も併せて押さえる。

神経原線維変化とは

神経細胞の中でタウタンパクが異常に固まったもの。老人斑とならぶアルツハイマー病の特徴的な変化。

脳血流シンチグラフィとは

ごく微量の放射性の薬を注射し、脳のどこにどれだけ血液が流れているかを画像にする検査。

  • 1

    基礎疾患として高血圧症が多い。不正解

    基礎疾患に高血圧が多く段階的に進行するのは血管性認知症の特徴である。

  • 2

    アミロイドβタンパクが蓄積する。正解

    アミロイドβが蓄積して老人斑を形成し、タウの神経原線維変化を伴うのが病態の中心。

  • 3

    初期には記銘力障害はみられない。不正解

    アルツハイマー病は初期から記銘力障害がみられるのが特徴で、この記述は誤り。

  • 4

    MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。不正解

    MRIでは海馬・側頭葉内側の萎縮が特徴的。前頭葉萎縮は前頭側頭型認知症でみられる。

  • 5

    脳血流シンチグラフィ所見では頭頂葉の血流増加がある。不正解

    脳血流シンチでは頭頂葉・側頭葉の血流低下がみられる。血流増加は誤り。

📚 混同しやすいので注意

Alzheimer(アルツハイマー)病の中核症状は記銘力障害(近時記憶の障害)から始まり、見当識障害・実行機能障害へ進む。 行動・心理症状(BPSD〈ビーピーエスディー〉)は環境や関わり方によって軽減できる。

  • 抗認知症薬(ドネペジルなど)は進行を遅らせる対症療法であり、根治療法ではない。
  • Lewy(レビー)小体型では抗精神病薬に過敏で、少量でもパーキンソニズムが悪化しやすい。
主な認知症の比較
Alzheimer型血管性Lewy小体型前頭側頭型
中心となる病理アミロイドβ・タウ脳血管障害α-シヌクレイン(Lewy小体)タウ・TDP-43
初期症状記銘力障害部位に応じたまだら症状幻視・パーキンソニズム・認知の変動人格変化・脱抑制・常同行動
経過緩徐に進行階段状に進行変動しながら進行緩徐に進行
画像海馬・側頭葉内側の萎縮梗塞・白質病変後頭葉の血流低下前頭葉・側頭葉の萎縮

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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