第111回 看護師国家試験 午後 問72 解説
📝 問題
Aさん(76歳、女性)は1人暮らし。脳血管疾患で右半身麻痺があり、障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-2である。週に2回の訪問看護を利用している。食事の準備と介助および食後の口腔ケアのため訪問介護を利用することになった。訪問介護の担当者は、Aさんのケアについて訪問看護師に助言を求めた。 訪問看護師が訪問介護の担当者に助言する内容で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 嚥下しやすくするため野菜は繊維に垂直に切って調理する
脳血管疾患後で嚥下機能が低下している可能性のある高齢者では、食べやすく飲み込みやすい調理の工夫が重要である。野菜は繊維に対して垂直(直角)に切ると繊維が短くなり、噛み切りやすく食塊としてまとまりやすくなるため、嚥下しやすくなる。
他の選択肢は、誤嚥を防ぐ関わりとして誤っている。 嚥下の際に頸部を回旋(横向きに)させるのは、健側ではなく患側(麻痺側)である。患側の梨状窩が閉じ、食塊が健側を通りやすくなって誤嚥を防げる。「健側に頸部を回旋」は誤り。 歯肉出血がみられても口腔ケアを中止せず、愛護的に継続して口腔内を清潔に保つことが誤嚥性肺炎の予防に重要である。 食事中にテレビを見せると注意が食事からそれ、むせや誤嚥のリスクが高まるため、食事に集中できる環境を整えるべきである。
覚え方: 「繊維に垂直で噛みやすく」「頸部回旋は患側へ(患側をふさぐ)」。国試では嚥下障害への食事介助(一口量・とろみ・体位・頸部前屈)と誤嚥予防が頻出。食事中は集中できる静かな環境が原則。
梨状窩とは
のどの奥、喉頭の両わきにあるくぼみ。飲み込んだものが引っかかりやすい場所。
食塊とは
かみくだいて唾液と混ざり、飲み込める形にまとまった食べ物のかたまり。
- 1
健側に頸部を回旋させ食事の介助をする。不正解
頸部回旋は患側(麻痺側)に向けると患側の梨状窩が閉じ誤嚥を防げる。健側への回旋は誤り。
- 2
野菜は繊維に対し垂直に切って調理する。正解
繊維に垂直に切ると繊維が短くなり、噛み切りやすく食塊がまとまり嚥下しやすい。
- 3
歯肉出血がみられたら口腔ケアは中止する。不正解
歯肉出血があっても口腔ケアは愛護的に継続する。中止すると口腔内が不潔になり肺炎リスクが上がる。
- 4
食事中はAさんの好きなテレビ番組を見せる。不正解
食事中のテレビは注意をそらし、むせ・誤嚥を招く。食事に集中できる環境が望ましい。
📚 国試でよく狙われるところ
嚥下障害の援助は、食事の前・最中・後のどの場面を聞かれるかで答えが変わる。姿勢・食べ物・口腔ケアの3つに分けて覚えよう。 誤嚥予防の基本姿勢は頸部前屈(顎を引く)。頸部が伸展すると気道が直線化して誤嚥しやすい。片麻痺では患側へ頸部を回旋して患側の梨状窩をふさぐ。
- 食事は座位(体幹を起こす)が基本。ベッド上ではギャッチアップ+頸部前屈で調整する。
- 食後は30分〜1時間の座位保持で逆流・誤嚥を防ぐ。
- 口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に直結する。出血があっても中止せず愛護的に継続する。
| 例 | |
|---|---|
| 嚥下しやすい | ゼリー・プリン・ヨーグルト、とろみをつけた飲み物、ポタージュ、あんかけ |
| 嚥下しにくい | 水・お茶などさらさらした液体、パン・カステラ(口腔内に付着)、餅・こんにゃく、そぼろ・ナッツ(ばらける)、酸味の強いもの(むせやすい) |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について