第111回 看護師国家試験 午後 問39 解説
📝 問題
52歳の女性が上腹部痛と吐血を主訴に受診し輸血を行うこととなった。 輸血時の対応で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ クロスマッチ(交差適合試験)の結果は医師と看護師でダブルチェックする。
輸血で最も避けなければならないのは取り違えによる溶血反応で、命に関わる。 クロスマッチ検査(交差適合試験)の結果・患者氏名・血液型・製剤番号は、医師と看護師など複数名で声出しと指差しによるダブルチェックを行う。
他の選択肢は、製剤の扱い方と採血・観察の時期が誤っている。30〜37℃で融解するのは新鮮凍結血漿で、赤血球製剤は原則そのまま用いる(加温は大量・急速輸血のときに専用の加温器で行う)。 血液型検査とクロスマッチ用の採血を同時に済ませると、その採血自体が取り違えでも気づけないため、それぞれ患者確認をして別々に採血する。 アレルギーなど重い副作用は開始直後に起こりやすく、最初の5分間はベッドサイドで観察し、15分後に再度観察する。15分後が初回では遅い。
クロスマッチとは
患者の血液と輸血する血液を実際に混ぜ合わせ、固まらないかを調べる検査。交差適合試験ともいう。
溶血反応とは
患者がもともと持っている抗体が、輸血された合わない赤血球を攻撃して壊してしまう反応。
- 1
赤血球製剤を30~37℃で融解する。不正解
融解が必要なのは新鮮凍結血漿。赤血球製剤は原則そのまま用い、加温は特定時のみ。
- 2
血液型検査とクロスマッチ検査用の採血を同時に行う。不正解
血液型検査とクロスマッチ用採血を同時に行うと取り違えを検出できず不適切。
- 3
クロスマッチ検査の結果を医師と看護師で確認する。正解
クロスマッチ結果は医師と看護師で複数人ダブルチェックし、取り違え・溶血反応を防ぐ。
- 4
輸血開始から15分後にアレルギー反応の初回観察を行う。不正解
重篤な副作用は開始直後に起こりやすい。開始直後から観察すべきで、15分後初回では遅い。
📚 ここも一緒におさえておこう
輸血には医師による説明と患者の同意(インフォームド・コンセント)が必要。 実施記録は20年間の保管が求められる。
- 主な副作用=溶血反応(ABO不適合。背部痛・血色素尿・ショック)、アレルギー・アナフィラキシー、発熱性非溶血反応、TRALI(輸血関連急性肺障害)、TACO(輸血関連循環過負荷)、輸血後GVHD(放射線照射で予防)。
- 輸血ルートには専用の輸血セットを用い、カルシウムを含む輸液(乳酸リンゲル液など)と同じルートからは入れない(凝固するため)。
- 開始直後に異常があればただちに輸血を中止し、ルートを生理食塩液に交換して医師に報告する。
| 製剤 | 保存条件 | 有効期間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 赤血球液(RBC) | 2〜6℃ | 採血後28日間 | 凍結させない。加温は急速大量輸血時などに限る |
| 新鮮凍結血漿(FFP) | −20℃以下 | 採血後1年間 | 30〜37℃の恒温槽で融解し、融解後は速やかに使用 |
| 血小板濃厚液(PC) | 20〜24℃で水平振盪 | 採血後4日間 | 冷蔵不可。振盪を続ける |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について