第110回 看護師国家試験 午後 問109 解説
📝 問題
Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。 入院時のAさんへの看護師の対応として適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 薬物依存症は回復が期待できる病気であることを伝えるのが、入院時の適切な対応。
薬物依存症は本人の意志の弱さや人格の問題ではなく、治療によって回復が期待できる病気(慢性疾患)である。 入院した時点でまず伝えるのは、この「回復が期待できる病気である」ことで、そこから治療への動機づけと信頼関係づくりが始まる。
「二度と使用しない」と約束させる、反省を促す、強い意志を持つよう説くといった対応は、依存症を意志の問題として本人を責めることになり、関係を損ねて治療から遠ざける。
依存症の治療では、自助グループや認知行動療法などのプログラムを通じて再使用を防いでいく。 看護師は非審判的態度で本人を支え、治療の継続を後押しする役割を担う。
非審判的態度とは
相手の言動を良い悪いで裁かずに受け止める関わり方。依存症の看護では、本人が正直に話せる土台になる。
自助グループとは
同じ問題をかかえる当事者どうしが集まり、経験を語り合って回復を支え合う場。専門職ではなく当事者自身が運営する。
- 1
二度と使用しないと約束させる。不正解
「二度と使用しない」と約束を強いるのは意志の問題とする対応で、回復を妨げ不適切。
- 2
回復が期待できる病気であることを伝える。正解
依存症は治療により回復が期待できる病気であると伝え、希望と治療動機を支える。
- 3
使用をやめられなかったことに対する反省を促す。不正解
反省を促すのは本人を責める姿勢で、非審判的態度に反し不適切。
- 4
自分で薬物を断ち切る強い意志を持つように伝える。不正解
意志の力で断ち切れるものではなく、強い意志を持つよう説くのは誤り。
📚 国試でよく狙われるところ
依存症の設問は、看護師が何と声をかけるかで問われる。責める・約束させる・意志に訴える言い方は誤りと覚えよう。
- 看護師の基本姿勢は非審判的かつ共感的で、正直に語れる関係をつくること
- 再使用(スリップ)を責めず、治療の継続につなげることを最優先にする
- 自助グループ=アルコールはアルコホーリクス・アノニマス(AA)・断酒会、薬物はナルコティクス・アノニマス(NA)・ダルク(DARC)
- 認知行動療法(SMARPPなど)で引き金(トリガー)と対処法を具体化する
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について