第110回 看護師国家試験 午前 問82 解説

一般基礎看護学✔ 監修済み

📝 問題

感染徴候のない創部の治癒を促進する要因はどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 感染徴候のない創部の治癒を促進する要因は湿潤である

創傷の治癒には、創面を適度に湿った状態に保つ「湿潤環境」が有利である。適度な湿潤環境では、細胞の遊走や増殖が促進され、上皮化が進みやすい。感染徴候がない創部では、この湿潤環境を維持することが治癒を促進する。

他の選択肢は治癒を妨げる、または促進しない。過度の圧迫は血流障害を招き治癒を妨げる。痂皮(かさぶた)は上皮化の妨げとなり、湿潤環境を保つ現代的な創傷管理では必ずしも治癒を促進しない。消毒は正常な細胞や肉芽組織まで傷害し、感染がない創では治癒を遅らせうるため、通常は洗浄が優先される。浮腫は局所の循環を悪化させ治癒を妨げる。

国試では湿潤環境下療法(モイスト・ウーンド・ヒーリング)の考え方が頻出である。「感染のない創は乾燥・消毒せず、適度な湿潤を保つ」という原則を押さえておくとよい。

上皮化とは

傷の表面を新しい皮膚の細胞が覆っていくこと。ここまで進んで、傷が閉じたとみなされる。

肉芽組織とは

傷のくぼみを埋めるようにできる、赤くやわらかい新しい組織。細い血管が多く、触れると出血しやすい。

  • 1

    圧迫不正解

    過度の圧迫は血流を障害し、創傷治癒を妨げる。

  • 2

    痂皮不正解

    痂皮は上皮化を妨げ、湿潤環境を保つ管理では治癒促進とはいえない。

  • 3

    湿潤正解

    適度な湿潤環境は細胞の遊走・増殖と上皮化を促し、治癒を促進する。

  • 4

    消毒不正解

    消毒は正常細胞や肉芽を傷害し、感染のない創では治癒を遅らせうる。

  • 5

    浮腫不正解

    浮腫は局所循環を悪化させ、創傷治癒を妨げる。

📚 国試でよく狙われるところ

創傷は、治癒の進み方と手当ての善し悪しを入れ替えて問われる。治癒を助けるものと妨げるものに仕分けて覚えよう。 創傷治癒は炎症期→増殖期→成熟期の順に進む。 感染・壊死組織・異物・低栄養・低酸素・糖尿病・副腎皮質ステロイドは治癒を遅らせる。

  • 一次治癒=創縁を縫合して閉鎖する/二次治癒=開放したまま肉芽で埋める(瘢痕が大きい)
  • 壊死組織があるとデブリードマンが必要。感染創では湿潤環境の維持よりも排膿・洗浄を優先する
  • 洗浄は十分量の生理食塩液または微温湯で行う。感染のない創に消毒薬は原則不要
  • ドレッシング材(ハイドロコロイド、ポリウレタンフォームなど)で滲出液を保持しつつ、過剰な浸軟を防ぐ
  • 創傷治癒を支える全身管理=十分な蛋白質・エネルギー、亜鉛・ビタミンC、血糖コントロール、禁煙

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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