第110回 看護師国家試験 午前 問58 解説
📝 問題
妊娠の初期と後期のどちらの時期にも起こるマイナートラブルはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 妊娠初期・後期のいずれにも起こるのは頻尿。
頻尿は妊娠初期と後期の両方に起こりやすいマイナートラブルである。妊娠初期は増大する子宮が前方の膀胱を圧迫し、後期は児頭が骨盤内に下降して再び膀胱を圧迫するため、いずれの時期にも頻尿が生じる。 中期には子宮が腹腔内に挙上して膀胱への圧迫が軽減し、頻尿はやや和らぐことが多い。
他の選択肢は好発する時期が限られる。 つわりは妊娠初期に特徴的な症状で、後期にはみられない。下肢静脈瘤は増大した子宮による静脈還流障害で妊娠後期に生じやすい。搔痒感(妊娠性掻痒)は主に妊娠中期以降にみられる。
各マイナートラブルの好発時期(つわり=初期、静脈瘤・浮腫=後期、頻尿=初期と後期)を時期と結びつけて整理しておく。
マイナートラブルとは
妊娠にともなう体の変化で起こる、命に関わらない不快な症状のこと。治療よりも生活の工夫で和らげる。
下肢静脈瘤とは
脚の静脈の弁がうまく働かず、血液がたまって血管がこぶのように浮き出た状態。だるさやこむら返りをともなうことがある。
- 1
下肢静脈瘤不正解
下肢静脈瘤は子宮増大による静脈還流障害で、主に妊娠後期に生じる。
- 2
搔痒感不正解
搔痒感は主に妊娠中期以降にみられ、初期・後期共通の症状ではない。
- 3
つわり不正解
つわりは妊娠初期に特徴的で、後期にはみられない。
- 4
頻尿正解
頻尿は、初期は子宮、後期は児頭による膀胱の圧迫で起こるため、両方の時期にみられる。
📚 国試でよく狙われるところ
マイナートラブルは、症状と好発時期の組合せで狙われる。多くは子宮が大きくなることで説明できるので、子宮の変化を軸に時期をたどるとよい。 妊娠期の区分は初期=13週6日まで、中期=14週0日〜27週6日、後期=28週0日以降。
| 症状 | 好発時期 | 主な機序 |
|---|---|---|
| つわり(悪心・嘔吐) | 初期(5〜16週ごろ) | hCGの上昇など |
| 頻尿 | 初期と後期 | 初期は子宮、後期は児頭による膀胱の圧迫 |
| 便秘 | 中期以降 | プロゲステロンによる腸蠕動の低下、子宮の圧迫 |
| 腰背部痛 | 中期以降 | 腹部の増大による姿勢の変化 |
| 掻痒感 | 中期以降 | 皮膚の伸展、ホルモンの影響 |
| 下肢静脈瘤・浮腫・こむら返り | 後期 | 子宮による静脈還流の障害 |
| 胸やけ・胃部不快感 | 後期 | 子宮による胃の圧迫、噴門部の緩み |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について