第109回 看護師国家試験 午後 問97 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 A さん(72歳、男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。既往歴:1年前に前立腺癌のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)26点、Barthel(バーセル)インデックス65点。 A さんは排尿コントロールについて「脳梗塞になってから、尿意を感じるとがまんできずに大量の尿が漏れてしまう。1日に何回も漏らす」と看護師に話した。 A さんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 脳梗塞後の尿意切迫・切迫性尿失禁であり、過活動膀胱と考えられる。
「尿意を感じるとがまんできずに大量に漏れてしまう」という訴えは、強い尿意切迫感を伴う切迫性尿失禁である。 脳梗塞などで脳が傷つくと、膀胱がいっぱいになるまで排尿反射を抑えておく働きが弱くなり、膀胱が勝手に収縮して尿意切迫感と切迫性尿失禁が起こる。 この状態が過活動膀胱で、Aさんのアセスメントとして適切である。
他の選択肢は漏れ方が違う。 腹圧性尿失禁は咳やくしゃみで腹圧が上がったときに少量漏れる。 溢流性尿失禁は尿を出しきれずにたまり、あふれた分が漏れる。 前立腺全摘除術のあとの尿失禁も主に腹圧性で、がまんできない尿意は伴わない。
- 1
過活動膀胱正解
尿意切迫を伴う切迫性尿失禁は過活動膀胱の典型で、脳梗塞後に生じやすい。
- 2
腹圧性尿失禁不正解
腹圧性尿失禁は腹圧上昇時に少量漏れるもので、尿意切迫の訴えとは異なる。
- 3
溢流性尿失禁不正解
溢流性尿失禁は排尿困難による溢流で、強い尿意切迫の訴えとは合わない。
- 4
腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症不正解
前立腺全摘後失禁は主に腹圧性で、脳梗塞後の尿意切迫の訴えと病態が異なる。
📚 関連知識
| 種類 | 漏れ方 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 切迫性尿失禁 | 強い尿意(尿意切迫感)とともに我慢できずに漏れる | 脳血管障害・パーキンソン病などによる過活動膀胱 |
| 腹圧性尿失禁 | 咳・くしゃみ・重い物を持つなど腹圧が上がったときに少量漏れる | 骨盤底筋群の脆弱化(経産婦・肥満・加齢)、前立腺全摘後 |
| 溢流性尿失禁 | 尿が出しにくく、膀胱にたまった尿があふれ出る | 前立腺肥大症、糖尿病性神経障害、術後の尿閉 |
| 機能性尿失禁 | 排尿機能は保たれているが、トイレまで間に合わない | 認知症、移動能力や着脱動作の低下 |
過活動膀胱には膀胱訓練・骨盤底筋訓練のほか、抗コリン薬やβ3受容体作動薬が用いられる。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について