第109回 看護師国家試験 午後 問92 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。 A さん(35歳、女性)は甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。検査の結果、A さんは甲状腺乳頭癌であり、甲状腺全摘出術を受けることになった。A さんは、手術前オリエンテーションの際「手術後にどんな症状が起こりやすいのか教えてください」と話した。 この時の A さんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 甲状腺全摘出術後は低カルシウム血症によるテタニー(手のつる感じ)が起こりやすい。
甲状腺全摘出術では、甲状腺の背側に接する副甲状腺(上皮小体)が、いっしょに取れたり血流が悪くなったりすることがある。 副甲状腺ホルモン(PTH)が減ると血液中のカルシウムが下がり、低カルシウム血症によるテタニーが起こりやすい。 手足のしびれや筋のこわばり、手がつる感じとして現れるので、術前にこの症状を伝えておく。
術後には反回神経麻痺による嗄声も起こるが、「声が出なくなる」は言い過ぎで、起こりやすい症状の説明としては適切でない。
嗄声とは
声がかすれること。声帯を動かす反回神経が傷つくと起こる。
- 1
「手がつる感じがあります」正解
副甲状腺機能低下による低カルシウム血症でテタニーが生じ、手がつる感じが起こりやすい。
- 2
「目が閉じにくくなります」不正解
眼瞼閉鎖不全は顔面神経麻痺の症状で、甲状腺術後に起こりやすい症状ではない。
- 3
「声が出なくなります」不正解
反回神経麻痺で嗄声は生じうるが「声が出なくなる」は誇張で、起こりやすい説明として不適切。
- 4
「唾液が多くなります」不正解
唾液分泌増加は甲状腺術後の典型症状ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
甲状腺の手術後に起こる低カルシウム血症は、これを見つける2つの徴候の名前で問われる。徴候の名前と、体のどこを見るのかを対にして覚えよう。 低カルシウム血症では神経・筋の興奮性が高まり、口周囲や手指のしびれ・テタニーが起こる。 重症になると喉頭けいれんやけいれん発作をきたす。
- Trousseau(トルソー)徴候=上腕を血圧計のマンシェットで収縮期血圧以上に数分加圧すると、手が助産師手位になる
- Chvostek(クボステック)徴候=耳の前(顔面神経)を軽く叩くと口角がひきつる
- 甲状腺術後の二大合併症=低カルシウム血症(テタニー)と反回神経麻痺(嗄声)
- 術直後は出血による気道閉塞にも注意し、頸部の腫脹・呼吸困難・ドレーン排液を観察する
- 甲状腺全摘後は、甲状腺ホルモン薬の生涯内服が必要になる
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について