第109回 看護師国家試験 午後 問87 解説
📝 問題
大量の輸液が必要と考えられる救急患者はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・5
💡 解説
✅ 大量輸液を要するのは両大腿変形(大量出血)と広範囲Ⅱ度熱傷である。
大量の輸液が必要になるのは、循環血液量が大きく失われる病態である。 代表は出血性ショックと広範囲熱傷の2つ。 両大腿が変形しているのは大腿骨骨折によるもので、片側だけで1,000 mL以上の内出血が起こりうる。 顔面・胸腹部・背部・両上肢に及ぶⅡ度熱傷では、傷ついた血管から血漿成分が漏れ出て循環血液量が減る。
前額部の切創からの出血は、通常は少量で大量輸液までは要らない。 飛び込み事故で四肢が動かないのは頸髄損傷が疑われ、まず行うのは頸椎の固定と呼吸の管理である。 胸が苦しいと言って倒れたのは心疾患が疑われ、大量の輸液はかえって心臓の負担になる。
輸液が要るかどうかは、失われた血液・体液の量で判断する。
Ⅱ度熱傷とは
皮膚の表面(表皮)の下にある真皮まで及んだやけど。水疱ができる。
- 1
前額部の切創で出血している。不正解
前額部の切創の出血は通常少量で、大量輸液を要しない。
- 2
オートバイ事故で両大腿が変形している。正解
両大腿変形は大腿骨骨折による大量出血が疑われ、大量輸液を要する。
- 3
プールの飛び込み事故で四肢が動かない。不正解
四肢が動かないのは頸髄損傷が疑われ、大量輸液が第一ではない。
- 4
デスクワーク中に胸が苦しいと言って倒れている。不正解
胸苦で倒れているのは心疾患が疑われ、大量輸液を要する病態ではない。
- 5
火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にⅡ度の熱傷を負っている。正解
広範囲のⅡ度熱傷は血漿漏出による循環血液量減少で大量輸液を要する。
📚 国試でよく狙われるところ
広範囲熱傷では、初期輸液の計算式と投与のペースがそのまま問われる。式と時間配分をセットで覚えよう。 Parkland(パークランド)法=4 mL × 体重(kg) × 熱傷面積(%) の乳酸リンゲル液を、受傷後24時間で投与する。 このうち最初の8時間で半量を入れる。
- 熱傷面積の概算=成人は9の法則、小児は5の法則、狭い範囲は手掌法(患者の手掌と指で体表の約1%)
- 骨折による出血量の目安=大腿骨で1,000〜2,000 mL、骨盤骨折では数千 mLに及ぶことがある
- 循環血液量の15%を超える出血から頻脈・脈圧の低下が現れ、30%を超えると血圧が下がる
- 出血性ショックでは、輸液路を太い留置針で2か所以上確保する
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について