第109回 看護師国家試験 午前 問52 解説
📝 問題
老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 肝血流量の低下により薬物代謝が遅れ、薬効が増大する。
薬物は主に肝臓で代謝され、腎臓から排泄される。老化で肝血流量が低下すると、肝臓での薬物代謝(初回通過効果を含む)が遅れ、血液中の薬物濃度が上がって薬効が強く出て長引く。
血中蛋白(アルブミン)が低下すると、蛋白と結合していない遊離型薬物が増えるため、薬効は減少ではなく増大する。腎血流量が低下すると排泄が遅れて薬物が蓄積し、こちらも薬効は増大する。消化機能の低下は吸収に影響するが、一律に薬効増大とはいえない。 高齢者は薬物有害事象を起こしやすいため、少量から始めて慎重に観察する。
初回通過効果とは
口から飲んだ薬が全身に回る前に、肝臓で一度代謝されて量が減ること。肝臓の働きが落ちると分解されずに残る量が増え、薬が効きすぎる。
- 1
血中蛋白の低下 ── 薬効の減少不正解
血中蛋白低下では遊離型薬物が増え、薬効は減少ではなく増大する。
- 2
腎血流量の低下 ── 薬効の減少不正解
腎血流量低下では排泄が遅れ薬物が蓄積し、薬効は減少ではなく増大する。
- 3
肝血流量の低下 ── 薬効の増大正解
肝血流量低下で代謝が遅れ、血中濃度が上昇し薬効が増大する。
- 4
消化機能の低下 ── 薬効の増大不正解
消化機能低下は吸収に影響するが、一律に薬効増大とは結びつかない。
📚 国試でよく狙われるところ
高齢者の薬は、加齢による体の変化がどの過程に効くかと、実際に起こりやすい有害事象がセットで問われる。変化・結果・注意する薬を対にして覚えよう。
- 多剤併用(ポリファーマシー)は有害事象・転倒・服薬アドヒアランス低下の原因となる
- 高齢者ではベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗コリン作用のある薬で、転倒・せん妄・尿閉が起こりやすい
| 過程 | 加齢による変化 | 結果 |
|---|---|---|
| ①吸収 | 胃酸分泌の低下、消化管運動の低下 | 大きな変化は少ない |
| ②分布 | 体脂肪の増加・体内水分の減少、血清アルブミンの低下 | 脂溶性薬物の蓄積、遊離型薬物の増加 |
| ③代謝 | 肝血流量・肝細胞機能の低下 | 代謝が遅れ血中濃度が上昇する |
| ④排泄 | 腎血流量・糸球体濾過量(GFR)の低下 | 排泄が遅れ薬物が蓄積する |
いずれも薬効の増強・遷延と有害事象につながる。高齢者では少量から開始し慎重に増量する。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について