第109回 看護師国家試験 午前 問112 解説
📝 問題
A さん(男性、26歳、会社員)は、高校時代に自閉症スペクトラム障害の診断を受け、外来通院をしながら仕事を続けていた。これまでの職場ではストレスが少なく、規則正しい生活ができていた。しかし、1か月前に新しい職場に異動になってから生活が不規則となり、数日前より無断欠勤が続いている。同居している家族に対して A さんは「家にいると仕事のことばかり考えてしまい眠れない。食欲もないし、環境を変えてゆっくり休みたい」と話したため、A さんは家族とともに精神科外来を受診し、休養目的で任意入院することになった。 看護師が入院時に聴取する情報で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 入院時に優先して聴取するのは最近1か月の生活状況である。
Aさんは休養を目的に入院しており、この1か月は職場の異動をきっかけに生活が不規則になり、不眠・食欲不振・無断欠勤が続いている。 まず把握すべきは、この最近1か月の生活状況である。睡眠・食事・活動のリズムがどのように崩れたかを具体的に聴き取ることが、休養と生活の立て直しを支える出発点になる。
他の3つは、生活状況を確かめたあとで掘り下げる情報である。業務量の変化や職場の人間関係は、不調が起きた背景としてあとから詳しく聴く。 無断欠勤に対する親の反応は、家族の受け止め方であって本人の状態ではない。 自閉症スペクトラム障害のある人は環境の変化に適応しにくく、生活リズムが乱れやすいことも押さえておく。
- 1
業務量の変化不正解
業務量の変化は背景要因として重要だが、まず把握すべきは本人の生活の現状である。
- 2
職場での人間関係不正解
職場の人間関係も背景情報だが、休養目的の入院時に最優先で聴取すべき情報ではない。
- 3
最近1か月の生活状況正解
不眠・食欲不振・無断欠勤が生じた最近1か月の生活状況の把握が、休養支援の出発点となる。
- 4
無断欠勤に対する親の反応不正解
親の反応は本人の状態把握に直接つながらず、優先度は低い。
📚 国試でよく狙われるところ
「優先度が高い情報はどれか」と問われたら、入院・受診の目的に直結するものを選ぶ。 休養目的の入院なら、まず本人の心身と生活の現状。背景要因(職場・家族関係)はそのあとに掘り下げる。
- 自閉症スペクトラム障害は自閉スペクトラム症(ASD)ともよばれる。中核特性は、社会的コミュニケーションと対人相互反応の困難と、限定された反復的な行動・興味(こだわり)の2つ。
- 感覚過敏(音・光・においなど)や予定変更への弱さがあり、環境調整が支援の中心になる。
- 任意入院は本人の同意に基づく入院で、原則として本人の申し出により退院できる(精神保健指定医の診察により最大72時間の退院制限が可能)。
- 入院時のアセスメントでは、睡眠・食事・活動の具体的な状況と、本人が困っていることを本人のことばで確認する。
| 入院形態 | 同意 | 診察 |
|---|---|---|
| 任意入院 | 本人の同意 | — |
| 医療保護入院 | 家族等の同意(本人の同意は不要) | 精神保健指定医1名 |
| 措置入院 | 都道府県知事の措置(自傷他害のおそれ) | 精神保健指定医2名の判断の一致 |
| 緊急措置入院 | 都道府県知事の措置(急速を要する場合) | 指定医1名、72時間以内 |
| 応急入院 | 本人・家族等の同意が得られない場合 | 指定医1名、72時間以内 |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について