第109回 看護師国家試験 午前 問107 解説
📝 問題
妊娠37週0日の初妊婦 A さん(28歳)。妊婦健康診査後、A さんは「数日前から頻回に尿意を感じるようになり、夜間もトイレへ行くために目が覚め、よく眠れない」と看護師に訴えてきた。A さんに排尿時痛および残尿感はない。 A さんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 妊娠後期の頻尿は「分娩後に改善する可能性が高い」と説明する。
妊娠後期には、大きくなった子宮や下降した児頭が膀胱を圧迫して頻尿が起こりやすい。 排尿時痛や残尿感がなく、尿路感染を疑う所見もない。 生理的な変化であり、分娩で子宮が縮んで圧迫が取れれば分娩後に改善する可能性が高いと説明し、安心につなげるのが適切である。
他の3つは、頻尿の原因である膀胱の圧迫に働きかけていない。 水分摂取を促せば夜間の排尿はかえって増え、骨盤底筋群の運動が効くのは腹圧性尿失禁で、睡眠薬は生理的な頻尿への第一選択ではない。
腹圧性尿失禁とは
せきやくしゃみなどで腹圧が急に高まったときに尿がもれるタイプの尿失禁。骨盤底筋のゆるみが背景にある。
- 1
水分摂取を促す。不正解
水分摂取を促すと排尿回数が増え、夜間頻尿による睡眠障害を悪化させうる。
- 2
骨盤底筋群の運動を促す。不正解
骨盤底筋運動は尿失禁予防には有効だが、子宮圧迫による頻尿の直接改善効果は乏しい。
- 3
分娩後には改善する可能性が高いと説明する。正解
妊娠後期の頻尿は子宮・児頭による膀胱圧迫が原因で、分娩後に改善する可能性が高い。
- 4
睡眠薬の処方について医師に相談すると伝える。不正解
生理的な頻尿が原因であり、妊娠中の睡眠薬使用を勧めるのは第一選択ではない。
📚 混同しやすいので注意
マイナートラブルへの対応は、生理的か病的かを見分け、生理的なら見通しを伝えて安心を支えるのが基本。 頻尿では排尿時痛・残尿感・発熱の有無が、生理的か感染かを分ける鍵になる。
- 妊娠初期にも増大した子宮で頻尿が生じ、中期にいったん軽減し、後期に児頭の下降で再び強まる。
- 妊婦は尿管の拡張と蠕動の低下から、無症候性細菌尿や腎盂腎炎を起こしやすい。排尿時痛・混濁尿・発熱があれば受診を勧める。
- 夜間頻尿への助言は、水分は日中にとる・就寝直前の多量摂取を避ける・側臥位(シムス位)で休むなど。
- 妊娠中の薬剤使用は慎重に判断し、自己判断での服用は避けるよう伝える。
- 骨盤底筋群の運動は産後の腹圧性尿失禁の予防に有効で、妊娠中から習慣づけておくとよい。
| 症状 | 主な原因 | 対応の例 |
|---|---|---|
| つわり | ホルモン変化 | 少量頻回の食事、におい対策。脱水・体重減少が強ければ妊娠悪阻を疑う |
| 便秘 | プロゲステロンによる腸蠕動低下、子宮による圧迫 | 水分・食物繊維、適度な運動 |
| 頻尿 | 子宮・児頭による膀胱の圧迫 | 水分は日中に。分娩後に改善することを説明 |
| 腰背部痛 | 前傾姿勢、靱帯のゆるみ | 姿勢の工夫、骨盤ベルト、踵の低い靴 |
| 下肢の浮腫・静脈瘤 | 静脈還流の低下 | 側臥位での休息、弾性ストッキング、下肢挙上 |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について