第108回 看護師国家試験 午前 問85 解説
📝 問題
内臓の痛みを引き起こすのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・4
💡 解説
✅ 内臓痛は、臓器の虚血と平滑筋の過度な収縮(攣縮)で引き起こされる。
内臓痛は、胃や腸などの管腔臓器が引き伸ばされたとき、平滑筋が強く縮んだとき(攣縮)、臓器が虚血に陥ったとき、炎症が起きたときに生じる。 虚血では組織が酸素不足になり、発痛物質がつくられて痛みが出る。 平滑筋の過度な収縮は疝痛とよばれ、尿路結石・胆石・腸閉塞でみられる代表的な内臓痛である。
他の3つは、内臓では痛みを起こしにくい刺激である。 内臓は切る・つまむ・熱いといった刺激に鈍く、氷水や48℃程度の白湯を飲んでも、内視鏡でポリープを切除しても痛みを感じにくい。
- 1
虚血正解
虚血になると組織が酸素不足に陥り、発痛物質がつくられて内臓痛が起こる。
- 2
氷水の摂取不正解
氷水は胃を冷やすが、内臓の痛覚は温度の刺激では興奮しにくく、内臓痛の原因とはならない。
- 3
48℃の白湯の摂取不正解
内臓の痛覚は熱の刺激でも興奮しにくく、48℃程度の白湯を飲んでも内臓痛は起こらない。
- 4
平滑筋の過度の収縮正解
平滑筋が強く縮む疝痛は、尿路結石や胆石でみられる内臓痛の代表である。
- 5
内視鏡によるポリープの切除不正解
管腔臓器は切っても痛みを感じにくく、内視鏡によるポリープ切除は内臓痛の原因にならない。
📚 混同しやすいので注意
内臓痛と体性痛は、原因と痛み方を入れ替えて問われる。 「何で痛むのか」と「痛む場所がはっきりするか」を対にして覚えよう。
- 管腔臓器は切っても痛まないが、伸展・攣縮では強く痛む。内視鏡でのポリープ切除が痛くないのはこのため
- 急性腹症では、内臓痛から体性痛へ変化したとき(腹膜刺激症状の出現)が重症化のサインとなる
| 種類 | 原因 | 性質 |
|---|---|---|
| 内臓痛 | 管腔臓器の伸展・攣縮、臓器の虚血、炎症、被膜の急激な伸展 | 鈍い・締めつけるような痛み。局在が不明瞭で、悪心・嘔吐・冷汗など自律神経症状を伴いやすい |
| 体性痛 | 腹膜・胸膜・皮膚・筋など体性組織の切開、炎症、圧迫 | 鋭く持続する痛み。局在が明瞭で、体動や咳で増強する |
| 関連痛 | 内臓からの痛覚が同じ脊髄分節に入る皮膚領域に投射される | 病変部から離れた部位に感じる(心筋梗塞=左肩・左上肢、胆嚢=右肩、横隔膜=肩) |
参考: 人体の構造と機能(痛覚生理学)に関する標準的教科書
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について