第108回 看護師国家試験 午前 問76 解説
📝 問題
看護師Aが患者Bの点滴ボトルに薬剤を注入しているとき、新人看護師から患者Cについて相談を受けた。看護師Aが作業を中断し新人看護師に対応した後、患者Bの点滴ボトルに患者Cの名前を記入するというヒヤリハットが発生した。 この病棟の看護師長が行う再発防止策で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 作業の中断への対策を病棟チームで検討することが、再発防止策として適切である。
点滴の準備中に別の相談を受けて手が止まったことが、この取り違えの背景にある。 再発防止で目を向けるのは個人の注意力ではなく、作業の中断が起こりやすい環境や手順という仕組みの側である。 病棟のチーム全体で中断への対策を検討することが、同じ間違いを防ぐことにつながる。
他の選択肢は再発防止につながらない。看護師A個人に対策を考えさせるのは、原因を個人の問題にしてしまう。 業務から外すのは罰であって、仕組みは変わらない。 再発防止カンファレンスを1か月後に計画するのは対応が遅い。
- 1
看護師Aに対策を考えさせる。不正解
個人に対策を考えさせるのは原因を個人の問題にしてしまい、仕組みの改善につながらない。
- 2
看護師Aを注射の業務から外す。不正解
業務から外すのは懲罰的対応であり、根本的な再発防止にならない。
- 3
作業中断の対策を病棟チームで検討する。正解
作業の中断という背景要因に着目し、チームで対策を検討することが仕組みの改善につながる。
- 4
再発防止カンファレンスを1か月後に計画する。不正解
再発防止の検討を1か月後に計画するのは対応が遅く、迅速性を欠く。
📚 ここも一緒におさえておこう
医療安全の問題は、個人を責める対応と仕組みを変える対応を並べて問われる。「人は誰でも間違える」を前提に、仕組みを変える側を選ぼう。
- ハインリッヒの法則は、1件の重大事故の背後に、軽微な事故が29件、ヒヤリハットが300件あるとするもの
- インシデント(ヒヤリハット)は、患者に影響が及ばなかった、または影響が軽微だった事例
- それに対しアクシデントは、実際に患者に傷害が生じた事例
- 分析手法には根本原因分析〈RCA〉、SHELモデル、4M-4E分析があり、いずれも背景要因を掘り下げる
- 注射の場面では、作業の中断を避ける、口頭指示を極力受けない、6R(正しい患者・薬剤・目的・用量・用法・時間)を確認する
参考: 医療安全管理・インシデント分析に関する標準的知見
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について