第108回 看護師国家試験 午前 問73 解説
📝 問題
Aさん(82歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1。日中は車椅子に座っていることが多い。Aさんの仙骨部に発赤があるのを発見したため、訪問看護師は妻にAさんへの介護方法を指導することにした。 妻に指導する内容で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 時々殿部を浮かすよう声をかけ、除圧を促すのが最も適切な指導である。
車椅子に長く座っていると、仙骨部や坐骨部に体重が集中して褥瘡ができやすい。 発赤は褥瘡の初期のサインなので、こまめに殿部を浮かして(プッシュアップ)除圧し、血流を回復させることがいちばん大切である。
他の選択肢は褥瘡を悪くするか、この場面には合わない。発赤部のマッサージは組織の傷みを強めるため行わない。 夜間2時間ごとの体位変換は臥床時の褥瘡予防として有効だが、この事例で問題になっている日中の車椅子座位への手当てにはならない。 円座は輪の当たる部分に圧が集中し、その内側の血流を妨げるため、現在は使わない。
プッシュアップとは
車椅子に座ったまま、腕で座面や肘かけを押して殿部を浮かせる動作。座っている間の除圧に用いる。
- 1
「仙骨部をマッサージしましょう」不正解
発赤部のマッサージは組織損傷を助長するため禁忌である。
- 2
「夜間は2時間毎に体位変換をしましょう」不正解
夜間の体位変換は臥床時に有効だが、日中の車椅子座位への対応として最適ではない。
- 3
「時々お尻を浮かすよう声をかけましょう」正解
時々殿部を浮かして除圧を促す指導は、座位での褥瘡予防に有効である。
- 4
「車椅子に座らせるときは円座を使いましょう」不正解
円座は局所の血流を妨げるため現在は推奨されない。
📚 国試でよく狙われるところ
褥瘡の問題は、予防のためにやってよいことと、やってはいけないことを混ぜて問われる。「圧」と「ずれ」を減らす方向かどうかで判断しよう。
- 体位変換は2時間以内の間隔を目安とし、体圧分散寝具を使用している場合は4時間以内でもよいとされる
- 発赤を見つけたら、まず圧を取り除いて赤みが消えるかどうかを確かめる
- 低栄養(低アルブミン血症)、湿潤(失禁・発汗)、摩擦とずれも発生要因となる
- 重症度の評価にはDESIGN-Rを用いる
| 体位 | 好発部位 |
|---|---|
| 仰臥位 | 仙骨部、踵骨部、後頭部、肩甲骨部、肘頭部 |
| 側臥位 | 大転子部、腸骨部、外果部、耳介部、肩峰突起部 |
| 腹臥位 | 前額部、前胸部、腸骨部、膝部、足趾 |
| 座位(車椅子) | 坐骨結節部、尾骨部、仙骨部、踵部 |
参考: 日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について