第107回 看護師国家試験 午後 問80 解説

一般老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

A さん(66歳、女性)は、4年前に前頭側頭型認知症と診断され、介護老人福祉施設に入所している。時々、隣の席の人のおやつを食べるため、トラブルになることがある。 この状況で考えられる A さんの症状はどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 隣の席の人のおやつを食べてしまうAさんの症状として考えられるのは脱抑制である。

前頭側頭型認知症は、前頭葉・側頭葉の萎縮により、社会的行動の抑制がきかなくなる「脱抑制」が特徴的にみられる。他者のものを勝手に取って食べる、社会的ルールを無視した行動、衝動的・反社会的な言動などが生じる。 設問の「隣席の人のおやつを食べる」は、行動を抑制できない脱抑制の典型例である。

国試では認知症のタイプ別の特徴的症状が問われる。 前頭側頭型は脱抑制・常同行動(同じ行動の反復)・自発性低下・食行動異常が特徴で、アルツハイマー型の記憶障害や物盗られ妄想とは区別する。

  • 1

    脱抑制正解

    他者のおやつを勝手に食べる行動は、社会的抑制がきかなくなる脱抑制の典型で、前頭側頭型認知症に特徴的である。

  • 2

    記憶障害不正解

    記憶障害では出来事を忘れるが、他者のものを衝動的に取る行動を直接説明する症状ではない。

  • 3

    常同行動不正解

    常同行動は同じ行動や道順を繰り返すもので、他者のおやつを取る行動そのものを説明しない。

  • 4

    自発性の低下不正解

    自発性の低下では活動性が乏しくなり、むしろ衝動的な行動とは逆の様相を示す。

  • 5

    物盗られ妄想不正解

    物盗られ妄想はアルツハイマー型でみられやすい症状で、自ら他者のものを取る本例とは異なる。

📚 混同しやすいので注意

認知症は原因疾患と初期症状を入れ替えて問われる。タイプと特徴的な症状を対にして覚えよう。

  • 前頭側頭型では同じ時刻に同じ道順を歩く(時刻表的生活)などの常同行動がみられる
  • 行動を頭ごなしに制止せず、常同行動を活かした日課づくりなど環境調整で対応する
主な認知症の特徴
種類特徴的な症状
アルツハイマー型近時記憶障害で発症、物盗られ妄想、緩徐に進行、病識の低下
血管性階段状の進行、まだら認知症、片麻痺などの巣症状、感情失禁
レビー小体型具体的な幻視、認知機能の変動、パーキンソニズム、REM睡眠行動障害
前頭側頭型脱抑制・反社会的行動、常同行動、食行動異常、記憶は比較的保たれる

参考: 系統看護学講座 老年看護学(認知症看護)/日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン」

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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