第107回 看護師国家試験 午後 問37 解説
📝 問題
A さん(85歳、女性)。左側の人工股関節置換術後10日である。日中は看護師の援助によって車椅子でトイレまで行くことは可能であるが、夜間はポータブルトイレを使用している。 A さんの夜間の療養環境を整える上で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ ポータブルトイレは、健側である右側に置くのが適切である。
左側の人工股関節置換術後で、患側は左下肢である。 ポータブルトイレは、立ち上がりやすく安全に移乗できる位置に置く。 健側である右側に置けば、健側の足で体重を支えながら立ち上がり、方向転換ができる。
人工股関節置換術後は、脱臼を防ぐため過度の屈曲・内転・内旋を避け、あわせて転倒・転落を防ぐ環境を整える。 他の選択肢は、いずれも転倒・転落の危険を高める。 スリッパは脱げやすい。 夜間にベッド柵を下げると転落を招く。 オーバーテーブルはキャスターで動くため、つかまる支えにならない。
- 1
足側のベッド柵は下げておく。不正解
足側のベッド柵を下げると、夜間の転落リスクが高まる。
- 2
着脱しやすいスリッパを用意する。不正解
スリッパは脱げやすく足元が不安定になり、転倒の危険がある。
- 3
ポータブルトイレは A さんのベッドの右側に置く。正解
健側である右側にポータブルトイレを置くことで、健側の足で支えながら安全に立ち上がり・移乗できる。
- 4
移動時につかまれるようにオーバーテーブルを整える。不正解
オーバーテーブルはキャスター付きで動きやすく、支持物にすると転倒の危険がある。
📚 ここも一緒におさえておこう
人工股関節置換術後の看護は、脱臼予防・転倒予防・血栓予防の3つが柱。禁忌の肢位は、日常の動作に置き換えて覚えよう。
- 後方アプローチでは屈曲・内転・内旋の複合動作で脱臼しやすい(前方アプローチでは伸展・外転・外旋に注意)
- 禁止動作:深くしゃがむ、椅子で足を組む、横座り、和式トイレ、低い椅子・低いベッド、体をひねって後ろの物を取る
- 生活指導:洋式トイレ・高めの椅子を使う、長柄の靴べら・ソックスエイドなどの自助具を用いる
- 就寝時は外転枕(三角枕)を用いて内転を防ぐ
- 術後は深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の予防(弾性ストッキング、間欠的空気圧迫、早期離床、足関節の底背屈運動)
- 夜間の環境調整では、足元灯を置き、履物はかかとのある滑りにくい靴にする。ベッド柵を使い、移動距離を短くする
参考: 人工股関節置換術後看護 関連ガイドライン
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について