第107回 看護師国家試験 午後 問111 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。 A さん(23歳、女性)。強迫性障害で任意入院中。 入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。A さんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。A さんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。 このときの A さんに最も有効と考えられるのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 強迫性障害に対して薬物療法以外で有効なのは認知行動療法(曝露反応妨害法)である。
強迫性障害の治療は、薬物療法(SSRIなど)と精神療法を組み合わせて行う。精神療法の中心は認知行動療法、なかでも曝露反応妨害法(ERP)である。 不安になる状況にあえて身を置き、強迫行為をしないまま待つと、不安は自然に下がっていく。この体験を積み重ねて、強迫観念と強迫行為の悪循環を断つ。 手洗いが減り、治療について話せるようになったAさんが「薬を飲む以外にできることは」と尋ねた段階に合う方法である。
他の3つは、強迫症状そのものを治す方法ではない。催眠療法は標準治療に入らず、作業療法は生活機能を取り戻すためのもの、就労移行支援は働くことを目指す福祉サービスである。 強迫性障害の治療は「SSRI+認知行動療法(曝露反応妨害法)」の組み合わせで押さえる。
SSRI〈エスエスアールアイ〉とは
脳のセロトニンの働きを高める薬。うつ病のほか、強迫性障害や不安症にも使われる。
- 1
催眠療法不正解
催眠療法は強迫性障害の標準的・第一選択の治療ではない。
- 2
作業療法不正解
作業療法は生活機能回復を図るもので、強迫症状そのものへの第一選択治療ではない。
- 3
認知行動療法正解
認知行動療法(曝露反応妨害法)は強迫性障害の精神療法の中心で、薬物療法以外で最も有効である。
- 4
就労移行支援不正解
就労移行支援は就労を目指す福祉サービスで、症状治療の手段ではなく現段階の求めに合わない。
📚 混同しやすいので注意
精神療法は名前が似ていても、対象とする疾患と目的が違う。疾患名と治療法を対にして覚えよう。
- 強迫性障害の薬物療法ではSSRIを比較的高用量・長期間用いることが多い
| 方法 | 内容・主な適応 |
|---|---|
| 認知行動療法(CBT) | 認知と行動に働きかける。うつ病、不安症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など |
| 曝露反応妨害法(ERP) | 不安場面にあえて身を置き強迫行為をしない。強迫性障害の中核的治療 |
| SST(社会生活技能訓練) | ロールプレイで対人技能を練習。統合失調症の社会復帰支援 |
| 作業療法 | 作業活動を通じて生活機能・意欲の回復を図る |
| 心理教育 | 疾患・治療・対処法を学ぶ。本人・家族が対象 |
参考: 日本精神神経学会「強迫症の治療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について