第107回 看護師国家試験 午後 問106 解説
📝 問題
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。 A さん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。A さんは紹介を受けた精神科を受診した。 このときに A さんから収集する情報として優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 薬物依存症を疑う初回受診時には、優先度が高い情報として鎮咳薬の使用状況を収集する。
Aさんは鎮咳薬(市販薬)を繰り返し使ってやめられなくなり、仕事にも支障が出ており、薬物依存症が疑われる。 初回のアセスメントでは、まず依存の対象である鎮咳薬について、使用開始時期・量・頻度・入手経路を把握することが最優先になる。 これが依存の重症度の評価、離脱症状の予測、治療方針の決定を支える土台になる。
排尿回数や咳嗽の有無は、依存症の評価の中心にはならない。 生活上のストレス要因も治療には大切だが、まず押さえるのは依存の対象そのものである。 依存症のアセスメントは「何を・いつから・どれだけ使っているか」を核にすると、優先度に迷わない。
離脱症状とは
依存している薬を急にやめたり減らしたりしたときに出る症状。不眠・発汗・手のふるえ・不安などが現れる。
- 1
排尿回数不正解
排尿回数は薬物依存症のアセスメントの中心ではなく、優先度は高くない。
- 2
咳嗽の有無不正解
咳嗽の有無は元の症状に関する情報だが、依存症評価の優先情報とはいえない。
- 3
鎮咳薬の使用状況正解
依存対象である鎮咳薬の使用状況(量・頻度・経過)は依存の重症度評価と治療方針の基盤で最優先である。
- 4
生活上のストレス要因不正解
生活上のストレス要因も重要だが、まず把握すべきは依存対象そのものの使用状況で、優先度では下回る。
📚 ここも一緒におさえておこう
薬物依存症は、依存の仕組みと、どう評価してどう関わるかがセットで問われる。 精神依存(渇望・強迫的な使用)と身体依存(中断で離脱症状)を分け、繰り返すうちに耐性ができることまで覚えよう。
- 近年は市販薬(一般用医薬品)の乱用が若年層で増加し、鎮咳薬・感冒薬などが問題となっている
- 依存症は「意志の弱さ」ではなく治療が必要な疾患であり、叱責や説得では改善しない
- アセスメントでは使用薬物・使用期間・量・頻度・入手経路と、使用時の状況や生活・仕事への影響を聴取する
- 離脱症状の有無と重症度は、入院・解毒治療の必要性を判断する材料になる
- 否認が強い時期でも責めずに関係をつくることが治療継続の前提となる
参考: 厚生労働省「薬物依存症の治療・回復支援」/日本アルコール・アディクション医学会 指針
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について