第107回 看護師国家試験 午後 問104 解説
📝 問題
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。 A 君(13歳、男子)。下肢の紫斑・腹痛・膝関節痛と血尿・蛋白尿でヘノッホ・シェーンライン紫斑病〈IgA血管炎〉が疑われる。 その後6か月間、A 君は外来で経過観察となった。関節症状および紫斑は自然に消失したが、尿の異常と低蛋白血症は変わらず、その他の所見も変化がなかった。 A 君の尿の異常の確定診断をするために最も重要な検査はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 尿の異常が持続する腎障害(IgA血管炎性腎炎)の確定診断には腎生検が最も重要である。
IgA血管炎に伴う腎症(紫斑病性腎炎)で、6か月たっても血尿・蛋白尿と低蛋白血症が続いている。 腎組織の傷み方を確かめて治療方針を決めるため、腎生検が最も重要になる。 腎生検では糸球体のメサンギウム増殖や半月体形成といった組織の重症度を判定でき、ステロイドや免疫抑制薬をどこまで使うかを決める根拠になる。
他の検査では、組織の状態までは分からない。 咽頭培養は溶連菌などの誘因を探すための検査である。 腹部MRIは腎炎の組織診断には用いない。 クレアチニンクリアランスが示すのは腎機能の低下の程度で、尿異常の原因までは決められない。 腎疾患では「確定診断=腎生検」という結び付きを押さえておく。
半月体形成とは
糸球体の中に三日月の形をした細胞のかたまりができる変化。腎機能が急に落ちるしるしで、治療を強める根拠になる。
- 1
腎生検正解
腎生検は糸球体の組織学的重症度を判定でき、持続する尿異常(紫斑病性腎炎)の確定診断に最も重要である。
- 2
咽頭培養不正解
咽頭培養は溶連菌感染などの誘因検索に用いるもので、腎症の確定診断の主軸ではない。
- 3
腹部MRI不正解
腹部MRIは腎炎の組織診断に用いず、尿異常の確定診断には役立たない。
- 4
クレアチニンクリアランスの測定不正解
クレアチニンクリアランスは腎機能(GFR)の評価に有用だが、組織学的な確定診断にはならない。
📚 ここも一緒におさえておこう
腎生検は経皮的に腎組織を採取する侵襲的検査で、出血が最大の合併症である。 検査前後の看護と、結果を治療にどうつなげるかがそのまま問われる。
- 検査前は凝固機能・血圧・感染の有無を確認し、抗凝固薬の中止を確認する
- 検査は腹臥位で行い、終了後は穿刺部を圧迫止血する
- 検査後は仰臥位で安静を保ち(数時間〜翌朝まで)、腰背部痛・肉眼的血尿・血圧低下を観察する
- 安静解除後は十分な水分摂取を促し、1〜2週間は激しい運動や重い物の持ち上げを避ける
- 小児の慢性腎炎では組織所見に基づいてステロイドや免疫抑制薬の適応を決定する
参考: 日本小児腎臓病学会「小児IgA血管炎ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について