第107回 看護師国家試験 午前 問98 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、右の上腕骨近位部骨折と診断され入院した。入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。 移動の方法として適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 起立性低血圧・転倒を防ぐため、しばらく座位をとってから立ち上がる方法が適切である。
臥床している時間が長い高齢者が急に立ち上がると、起立性低血圧によるめまい・ふらつきから転倒しやすい。 ベッドで横になって過ごすことが多いAさんでは、端座位をしばらく保って循環動態を安定させてから立ち上がることで、失神と転倒を防げる。 左不全麻痺と右上腕骨の骨折があるため、健側・患側の使い方にも配慮しながら移動を介助する。
高齢者の移動援助では「起立性低血圧の予防」と「骨折部・麻痺への配慮」が要点になる。 骨折した右腕で起き上がる方法と、痛みがあるまま歩く方法は、どちらも患部に負担をかける。 ベッドの高さは、腰掛けたときに足底全体が床に着くのが安全である。
端座位とは
ベッドの端に腰かけ、両足を床に下ろした姿勢。寝た姿勢から立ち上がるまでの途中に必ずはさむ。
- 1
右腕を使って起き上がる。不正解
右上腕骨近位部を骨折しているため、右腕を使って起き上がると骨折部に負担がかかる。
- 2
しばらく座位をとってから立ち上がる。正解
臥床が多い高齢者では起立性低血圧を防ぐため、座位をしばらく保ってから立ち上がるのが安全で適切である。
- 3
骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。不正解
骨折部の痛みがあるときの歩行は無理をさせることになり、安静や介助方法の見直しが必要である。
- 4
ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。不正解
足底がしっかり床に着く高さが安全で、つま先だけが着く低い高さは立ち上がりにくく転倒リスクを高める。
📚 国試でよく狙われるところ
移動の介助は、急に立たせない手順、健側・患側のどちらを先に動かすか、ベッドまわりの環境が繰り返し問われる。順番と左右をセットで覚えよう。
- 起立性低血圧は起立後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上(拡張期血圧は10mmHg以上)低下するもので、降圧薬・利尿薬・長期臥床・脱水が誘因となる
- 起き上がりは仰臥位 → 側臥位 → 端座位 → 立位と段階を踏み、各段階でめまい・ふらつきを確認する
- 片麻痺のある人の車椅子移乗では、車椅子を健側に置き、健側を軸に方向転換する
- 杖歩行は杖 → 患側 → 健側の順(三動作歩行)で進め、階段は昇りは健側から、降りは杖・患側から
- ベッドの高さは腰掛けたときに足底全体が床に着く高さが安全で、低すぎると立ち上がりにくい
参考: 医療情報科学研究所編『老年看護学』/日本老年医学会 高齢者診療ガイドライン
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について