第107回 看護師国家試験 午前 問71 解説
📝 問題
胸腺腫に合併する疾患で多くみられるのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 胸腺腫に合併する疾患で多くみられるのは重症筋無力症である。
重症筋無力症は、アセチルコリン受容体などに対する自己抗体によって神経筋接合部の伝達が妨げられる自己免疫疾患である。 その発症には胸腺の異常が深く関わっており、患者の多くに胸腺過形成や胸腺腫がみられる。 逆に、胸腺腫に合併する疾患としても重症筋無力症が最も代表的で、治療として胸腺摘除術が行われる。
他の選択肢は、胸腺腫との結びつきで問われる疾患ではない。 Parkinson(パーキンソン)病は中脳の黒質が変性する疾患、筋ジストロフィーは筋肉が壊れていく遺伝性の疾患である。 多発性硬化症は脳や脊髄の髄鞘がこわれる疾患、多発性筋炎は筋そのものに炎症が起こる自己免疫疾患である。
神経筋接合部とは
神経の末端と筋肉がつながる継ぎ目。ここでアセチルコリンが受け渡されて筋肉が収縮する。
- 1
Parkinson(パーキンソン)病不正解
Parkinson病は黒質のドパミン神経変性による疾患で、胸腺腫との合併関係はない。
- 2
筋ジストロフィー不正解
筋ジストロフィーは遺伝性の筋変性疾患で、胸腺腫に合併する代表疾患ではない。
- 3
重症筋無力症正解
重症筋無力症は胸腺の異常と密接に関連し、胸腺腫に合併する疾患として最も多い。
- 4
多発性硬化症不正解
多発性硬化症は中枢神経の脱髄疾患で、胸腺腫との直接的な合併関係はない。
- 5
多発性筋炎不正解
多発性筋炎は自己免疫性の筋炎だが、胸腺腫に合併する代表疾患ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
重症筋無力症は、症状の出方と検査・治療を組にして問われる。「朝は動けて夕方に力が入らない」を軸に覚えよう。
- 初発症状は眼瞼下垂・複視が多く、進行すると四肢の筋力低下、嚥下障害、構音障害、呼吸筋麻痺をきたす
- 症状には日内変動があり、朝は軽く午後から夕方にかけて悪化する(易疲労性)
- 検査は抗アセチルコリン受容体抗体・抗MuSK抗体、反復刺激試験のwaning現象、エドロホニウム(テンシロン)試験、胸部CTによる胸腺腫の検索
- 治療は抗コリンエステラーゼ薬、副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬、胸腺摘除術。急性増悪には血漿交換や免疫グロブリン大量静注療法を行う
- 感染・手術・過労・妊娠・一部の薬剤(アミノグリコシド系抗菌薬、筋弛緩薬など)はクリーゼの誘因となる
参考: 医学書院「系統看護学講座 成人看護学(脳・神経)」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について