第107回 看護師国家試験 午前 問119 解説
📝 問題
次の文を読み119、120の問いに答えよ。Aさん(17歳、高校生)。身長158cm、体重48kg。Aさんは最近、月経時に下腹部痛が繰り返し出現し、寝込むことが多くなった。心配した母親と一緒に、Aさんは産婦人科クリニックを受診し、医師から機能性月経困難症と診断された。既往歴に特記すべきことはない。 Aさんの下腹部痛についての説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 機能性月経困難症の下腹部痛は、プロスタグランディンの過剰産生による子宮収縮で起こる。
機能性(原発性)月経困難症は、器質的な疾患を伴わない月経痛である。 月経時に子宮内膜で作られるプロスタグランディンが過剰になると、子宮平滑筋が強く収縮し、血管も収縮して虚血が起こり、下腹部痛を生じる。 若年女性に多く、17歳で既往のないAさんの経過にも合う。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はプロスタグランディンの合成を妨げる薬なので、この機序の痛みによく効く。 無排卵性月経・卵巣のうっ血・経血の流出は、いずれも下腹部痛の主な原因にはならない。
プロスタグランディンとは
体の組織で作られ、痛みや炎症、子宮の収縮を強める物質。月経時に子宮内膜で多く作られる。
- 1
プロスタグランディンの過剰産生によって起こる。正解
プロスタグランディンの過剰産生による子宮収縮と虚血が、機能性月経困難症の下腹部痛を起こす機序である。
- 2
無排卵性の月経によって起こる。不正解
無排卵性月経は月経困難症の主因ではなく、機能性月経困難症は通常排卵性周期に伴って起こる。
- 3
卵巣内のうっ血によって起こる。不正解
痛みの機序は子宮の収縮と虚血であり、卵巣内のうっ血ではない。
- 4
経血の流出によって起こる。不正解
経血の流出そのものが痛みの原因ではなく、痛みはプロスタグランディンによる子宮収縮に起因する。
📚 混同しやすいので注意
月経困難症は、機能性と器質性のどちらかを見分ける形で問われる。原因・好発年齢・痛みの時期・治療を左右で対にして覚えよう。 NSAIDsは、痛みが強くなる前(月経開始前後)に内服を始めると効果が高い。
| 項目 | 機能性(原発性) | 器質性(続発性) |
|---|---|---|
| 原因 | 子宮内膜でのプロスタグランディンの過剰産生による子宮収縮と虚血 | 子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫など |
| 好発年齢 | 初経後2〜3年の10歳代〜20歳代 | 20歳代後半以降に多い |
| 痛みの時期 | 月経開始直前から開始後1〜2日目が最も強い | 月経期以外にも慢性の骨盤痛を伴うことがある |
| 治療 | NSAIDs、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)、温罨法 | 原因疾患の治療(薬物療法・手術) |
参考: 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編」/医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について