第106回 看護師国家試験 午後 問88 解説
📝 問題
精神医療におけるピアサポーターの活動について正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・5
💡 解説
✅ ピアサポーターは自分の精神障害の経験を活かして同じ体験をしている人を支え、その活動を通じて自身の回復も進む。
ピアサポーターの「ピア」は仲間という意味で、自分自身が精神障害を経験した人が、その経験を活かして同じ体験をしている人を支える役割をいう。 専門職の説明では届きにくいことでも、同じ道を通ってきた人の言葉なら受け取れることがある。「自分もこうなれる」と思える見本になる点が、ほかの支援者にはない力である。 専門職の学んだ知識とは別に、経験に基づく知識を持っていることが強みになる。
支える側にとっても意味がある。役割を持ち、人の役に立ち、自分の経験が価値あるものとして扱われることで自信が戻り、ピアサポーター自身の回復(リカバリー)も進む。
他の選択肢は、活動を必要以上に狭めている。自宅や病棟へ出向く訪問活動も行われており、専門職が必ず同行しなければならない決まりもない。医療や福祉のサービスを使いながら活動している人も多く、利用を終えていることは条件にならない。
リカバリーとは
症状が完全になくなることではなく、病気を抱えながらも自分の望む生き方を取り戻していく過程のこと。
- 1
訪問活動は禁止されている。不正解
訪問活動は禁止されていない。自宅や入院中の病棟へ出向いて話を聴く活動は、地域移行の支援として行われている。
- 2
活動には専門家の同行が条件となる。不正解
専門職の同行は条件ではない。活動の形は場面ごとに決まり、ピアサポーターだけで面会や同行支援を行うこともある。
- 3
ピアサポーター自身の回復が促進される。正解
役割を持ち人の役に立つ経験は自信につながり、ピアサポーター自身の回復も進む。支える側と支えられる側の両方に効果がある。
- 4
精神保健医療福祉サービスの利用を終了していることが条件となる。不正解
サービスを利用しながら活動している人も多い。通院や福祉サービスを続けたままピアサポーターとして働くことができる。
- 5
自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。正解
自分の精神障害の経験を活かして同じ体験をしている人を支えるのが、ピアサポーターの中心の役割である。
📚 ここも一緒におさえておこう
精神科の地域移行は、誰がどの役割を担うかを入れ替えて問われる。ピアサポートは「当事者にしかできないこと」を任される場面で出てくる、と押さえよう。
- 障害者総合支援法の地域移行支援(退院に向けた準備を手伝う)と地域定着支援(退院後の暮らしを支える)で、ピアサポーターが活動している。
- 支援の土台になるのは、その人の強み(ストレングス)に目を向け、本人が決めることを支えるという姿勢である。
参考: 精神看護学(地域移行支援とピアサポート)
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について