第106回 看護師国家試験 午後 問41 解説
📝 問題
Aさん(59歳、女性)は、半年前に下咽頭癌で放射線治療を受けた。口腔内が乾燥し、水を飲まないと話すことも不自由なことがある。Aさんに起こりやすいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 唾液が減って口の中が乾いた状態が続くと、う歯が起こりやすくなる。
下咽頭は口の奥から食道へ続く場所で、ここに放射線を当てると、近くにある唾液腺にも線量が及ぶ。 唾液腺が傷つくと唾液が減り、口の中が乾いたままになる(口腔乾燥)。
唾液には、口の中を洗い流す、酸を薄めて中和する、歯の表面を修復するという働きがある。これが失われると歯が溶けやすくなり、放射線性う蝕とよばれる進みの速いむし歯が短い期間で広がる。 半年たっても水を飲まないと話しにくいという状態は、唾液の減少が続いていることを示している。
予防は、放射線治療を始める前からの歯科受診と、治療後のフッ化物の使用、こまめな含嗽と保湿である。
- 1
う歯正解
唾液が減ると、口の中を洗い流す働きと酸を中和する働きが失われ、むし歯が急速に広がる。放射線治療のあとに特有の、進みの速いう蝕である。
- 2
顎骨壊死不正解
顎骨壊死は、放射線を当てた顎の骨で血流が乏しくなり、感染をきっかけに骨が壊れる合併症である。抜歯などの刺激が引き金になることが多く、頻度は高くない。
- 3
嗅覚障害不正解
嗅覚障害は、鼻の奥の嗅粘膜や嗅神経が傷ついて起こり、感冒や副鼻腔炎、頭部外傷が原因になる。下咽頭への照射では嗅粘膜に線量が届かない。
- 4
甲状腺機能亢進症不正解
逆。頸部に放射線が当たると甲状腺の働きは低下する側に傾くため、治療後は甲状腺機能低下症が出ていないかを定期的に確かめる。
📚 国試でよく狙われるところ
放射線治療の有害事象は、当てた部位と出る症状の組合せで問われる。「照射野の中にある臓器に出る」と覚えよう。
- 頭頸部=口内炎・口腔乾燥・味覚障害・う歯。治療を始める前に歯科を受診して治療しておく
- 胸部=放射線肺炎・食道炎。から咳や息切れ、飲み込むときの痛みが出たら受診する
- 骨盤=下痢・膀胱炎・皮膚炎
- 共通=倦怠感と、照射した部位の皮膚炎。こすらず、熱い湯を避ける
参考: 系統看護学講座 成人看護学(耳鼻咽喉)/国立がん研究センター がん情報サービス「放射線治療」
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について