第106回 看護師国家試験 午後 問38 解説
📝 問題
合併症のない全身状態が良好な患者に対して、全身麻酔のための気管挿管を行い用手換気をしたところ、左胸郭の挙上が不良であった。原因として考えられるのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 左胸郭の挙上が不良なのは、気管チューブが右主気管支まで入った片肺挿管によるものと考えられる。
気管は左右の主気管支に分かれるが、右主気管支のほうが太く短く、より垂直に近い角度で下りている。 気管チューブを深く入れすぎると、そのまま右へ進んで右の肺だけに空気が入る。これが片肺挿管である。 空気の入らない左の肺はふくらまないので、用手換気をしても左の胸だけが持ち上がらない。
気づいたら左右の呼吸音を聞いて差を確かめ、チューブを少し引き戻して、両側の胸の動きと呼吸音がそろうことを確認する。固定した位置(口角での目盛り)を記録し、体位を変えたあとにも確かめる。
他の選択肢では、左右の差が説明できない。 食道挿管なら胸は左右とも持ち上がらず、換気量不足なら左右とも挙上が浅くなる。
- 1
無気肺不正解
無気肺は、痰の詰まりや長い臥床などで肺胞に空気が入らなくなり、つぶれた状態をいう。時間をかけて起こるもので、挿管の直後に片側だけの挙上不良として現れるものではない。
- 2
食道挿管不正解
食道挿管はチューブが食道に入った状態で、胸は左右とも持ち上がらず、送気のたびに上腹部がふくらむ。左右の差にはならない。
- 3
片肺挿管正解
気管チューブが右主気管支まで進み、左の肺に空気が入らない状態である。チューブを少し引き戻し、左右の呼吸音がそろうかを確かめる。
- 4
換気量不足不正解
換気量不足は、送る空気の量や回数が足りない状態で、左右とも同じように挙上が浅くなる。片側だけが動かない説明にはならない。
📚 ここも一緒におさえておこう
気管挿管の直後は、チューブがどこに入ったかを決まった順で確かめる。見る・聴く・測るの3つを組で覚えよう。
- 胸郭が左右そろって持ち上がるかを見る
- 呼吸音を胸の左右と上腹部で聴く。上腹部でごぼごぼと聞こえたら食道挿管を疑う
- 呼気に二酸化炭素が出ているか、経皮的動脈血酸素飽和度が保たれているかを測る
参考: 系統看護学講座 成人看護学 周手術期看護/系統看護学講座 基礎看護技術
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について