第106回 看護師国家試験 午後 問117 解説
📝 問題
次の文を読み117、118の問いに答えよ。Aさん(60歳、男性)は、自宅近くを散歩中に突然の胸痛が出現し、救急車を要請した。救急隊到着時のバイタルサインは、呼吸数28/分、脈拍100/分、血圧80/40mmHgであった。冷汗が著明で、前胸部から左肩にかけての激痛を訴えていた。問診で狭心症の既往歴があることが分かった。入院時の検査で急性心筋梗塞と診断された。 このときの検査所見として適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 急性心筋梗塞では心電図にST上昇がみられる。
冠動脈が詰まって心筋が死んでいく急性心筋梗塞では、心電図にST上昇が現れる。 傷ついた心筋で電気の流れが変わるためで、詰まった血管の場所ごとに、上昇の出る誘導が決まる。
この病気は発症からの時間で所見が変わる。ST上昇は早い時期から出る。 心筋が壊れると細胞の中の酵素が血液へ漏れ、クレアチンキナーゼ〈CK〉は発症から数時間で上がり始め、1日ほどで最も高くなる。
残る3つは、別の状態でみられる所見である。左肺の呼吸音の減弱は気胸や胸水、心陰影の縮小は循環する血液量が減ったときの所見で、CKはこの時期には上がっていく。
CK〈シーケー〉とは
筋肉が壊れると血液中に出てくる酵素。心臓の筋肉が壊れる心筋梗塞では、発症後に上がる。
- 1
心電図のST上昇正解
心筋が傷ついた部分で電気の流れが変わるために現れ、発症の早い時期から確認できる。
- 2
左肺呼吸音の減弱不正解
呼吸音の減弱は肺に空気や水がたまって音が届かなくなる所見で、気胸や胸水を疑う。急性心筋梗塞で左右差は出ない。
- 3
クレアチンキナーゼ〈CK〉の下降不正解
逆。心筋が壊れると細胞の中のCKが血液へ漏れ出すため、発症後は上がっていく。
- 4
胸部エックス線写真での心陰影の縮小不正解
心陰影が小さくなるのは循環する血液量が減ったときで、心筋梗塞では心不全を起こすとむしろ大きくなる。
📚 混同しやすいので注意
狭心症と急性心筋梗塞は、所見を入れ替えて問われる。「痛みの長さ・ニトログリセリンが効くか・心筋が壊れるか」の3点で見分けよう。
| 項目 | 狭心症 | 急性心筋梗塞 |
|---|---|---|
| 胸痛の続く時間 | 数分から15分ほど | 30分以上続く |
| ニトログリセリン | 効く | 効かない |
| 心筋の変化 | 壊死しない | 壊死する |
| 心電図 | 発作時のST低下 | ST上昇 |
| 血液検査 | CK・心筋トロポニンは上がらない | CK・心筋トロポニンが上がる |
参考: 日本循環器学会「急性冠症候群ガイドライン」/系統看護学講座 成人看護学 循環器
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について