第106回 看護師国家試験 午後 問108 解説
📝 問題
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。Aさん(28歳、女性)は、両親と3人で暮らしている。24歳のときに統合失調症を発症し治療を開始している。Aさんは大学卒業後に一度就職したが、発症後に退職し、現在も無職である。2週前から元気がなく、自室に引きこもって独り言を言っているのが目立つようになったため、両親同伴で外来を受診した。両親からは、1年前から便秘が続き、Aさんが薬の副作用(有害事象)を気にするようになったという話があった。 さらに3か月後、家事の手伝いができるようになり、家庭内で落ち着いた日常生活を送れるようになった。Aさんは「自分のことは自分でできるようになって、将来はまた働きたい」と話すようになり、社会復帰に向けて社会資源の利用を検討することになった。 この時点でAさんに紹介する社会資源で適切なのはどれか。
✅ 正解
1・2
⚖️ 出題時に複数の選択肢が正解と認められた「複数正解(救済)」問題です。いずれか一つを選べば正解とされました。
💡 解説
✅ 就労移行支援と地域活動支援センターのいずれも正答として扱われた。
Aさんは家庭内の生活が落ち着き、「将来はまた働きたい」と自分から語るところまで回復している。 この段階で紹介するのは、生活の介護を補うサービスではなく、日中の活動の場と就労に向けた訓練を用意する社会資源である。
就労移行支援は就職を目指す人が訓練を受ける場、地域活動支援センターは日中を過ごして人と交わる通いの場である。 すぐ就労の訓練へ進む道と、まず居場所をつくる道の両方がこの段階のAさんに当てはまるため、どちらも正答として扱われた。
残る3つは、いずれも生活の介護を支えるサービスである。居宅介護は自宅での入浴・排泄・食事の介助、短期入所は介護する人が不在のときに短期間泊まる場、共同生活援助は世話人の支援を受けて共同生活を送る住まいの場で、身のまわりのことが自分でできるようになったAさんの課題とは向きが違う。
- 1
就労移行支援正解
一般企業などへの就職を目指す人が訓練・職場実習・就職活動・定着の支援を受けるサービスで、「また働きたい」という希望に直接こたえる。
- 2
地域活動支援センター正解
創作活動や生産活動、人との交流の場を提供する通いの場で、生活のリズムを整えながら社会とのつながりを広げる足がかりになる。
- 3
居宅介護〈ホームヘルプ〉不正解
居宅介護は自宅で入浴・排泄・食事などの介助を受けるサービスで、身のまわりのことが自分でできるAさんの段階には合わない。
- 4
短期入所〈ショートステイ〉不正解
短期入所は、介護する家族が病気や不在のときに短期間泊まって介護を受ける仕組みで、家族の休息を支える目的で使う。
- 5
共同生活援助〈グループホーム〉不正解
共同生活援助は世話人の支援を受けながら共同生活を送る住まいの場で、家庭で落ち着いて過ごせているAさんがいま必要とする場ではない。
📚 混同しやすいので注意
障害者総合支援法のサービスは、名前が似ていて役割を入れ替えて問われる。「働く・日中を過ごす・住む」のどれにあたるかで仕分けよう。
- 働く場=就労移行支援(就職を目指す原則2年間の訓練)・就労継続支援A型(雇用契約あり)・B型(雇用契約なし)・就労定着支援
- 日中を過ごす場=生活介護・自立訓練・地域活動支援センター
- 住む場=共同生活援助(グループホーム)・施設入所支援
- 2025年10月から就労選択支援が加わり、どの働き方が合うかを見きわめる段階から支援を受けられるようになった
参考: 厚生労働省「障害福祉サービスの内容」/系統看護学講座 精神看護学
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について